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岩波文庫
ともしび・谷間 他七篇

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  • サイズ 文庫判/ページ数 392p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003262375
  • NDC分類 983
  • Cコード C0197

内容説明

悲喜こもごもの人生。人間の営みはせせこましくてかなしい。“この世のことは何ひとつわかりゃしない!”という言葉が重い余韻を残す「ともしび」。“母なるロシアはでっけえでなあ!”と語る老人が印象的な中篇「谷間」。他に、「美女」「気まぐれ女」「箱に入った男」「すぐり」「恋について」「僧正」「いいなずけ」を収録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

みっぴー

50
◆ミステリでない、普通の短篇を読みたくなりました。どうせなら外国の。ーー◆家庭を題材にした短篇集。身勝手な嫁、身勝手な男、身勝手な嫁ぎ先、皆生活に疲れてカラカラに渇いています。読んでいるこっちも精神が十歳老けた感じです。医者をしていたのが原因かどうかは分かりませんが、チェーホフって厭世的な人間のような気がします。「人生なんて、そんなもんだよ」と。現実より、よりリアルな現実を描き出すチェーホフ。どんな目で世界を眺めていたのか…2017/02/14

やいっち

49
学生時代、「桜の園」に感激して以来のファン。名作の「谷間」は確かに良かった。「ともしび」は、チェーホフらしくない、不思議な読後感だったのだが、チェーホフの遺作と知って、なるほどと納得。とにかく、チェーホフの小説は素晴らしいよ。2016/02/15

syota

23
短編の名手チェーホフの作品9篇を収録。歯切れよく叙情的な文章が心地よい。特に晩年の『谷間』と『僧正』は、掘り下げた社会観察と庶民に対する温かい眼差しが印象的な名品だ。『谷間』のリーパや『僧正』の老母は、貧しく無教養ながら誠実に自分の人生を歩み続け、主役を凌ぐほどの魅力を発散している。一方、死の前年に書かれた『いいなずけ』のナージャは、故郷も婚約者も捨てて首都へ向かう。以前読んだ『可愛い女』の、男に依存して生きるオーレンカとは正反対。最後の小説で自立しようとする女を描いたところに、作者の思いが伺える。2019/06/16

ぺったらぺたら子 

20
二編のみ再読。『すぐり』は冒頭の何でもない様な水浴のあたりが素晴らしい。「ああ、気もちがいい、、、」と3度も繰り返すだけなのだが、本当にリラックスしている時の、アホになっている状態。そして、清潔な服に着替えると、美しいペラゲーヤがひっそりと絨毯の上を歩んで、やさしいほほえみを浮かべながらお茶とジャムを盆にのせて持ってくるのである、、、簡素ながら想像力のツボをそっと押される事で得られる臨場感。そしてその続編『恋について』。何も言うことはない、ほんの端切れの様でありながらも、小説はこれだけで充分。飽きない。2019/07/05

gogo

19
チェーホフの後期〜晩年の中短編群ということで、どの作品も熟した果実のように味わい深い。人びとの悲しみや喜びが、美しい田舎の風景と併せて、彩り豊かに描かれている。生涯最後の作品「いいなずけ」のラストの場面が印象的だ。女主人公が全てを捨てて、広々とした前途を胸に軽やかに去って行くのだ。これは、死を目前に控えた著者が至った人生観、即ち現世の艱難辛苦は未来に生きる人たちの希望に変わるというコペルニクス的転回を反映しているのだろうと思った。「三人姉妹」「ワーニャおじさん」といった晩年の戯曲のテーマとも通底している。2017/08/12

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