岩波文庫
珈琲店・恋人たち

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 366p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003270325
  • NDC分類 972
  • Cコード C0198

内容説明

コーヒーがヨーロッパで広く飲まれるようになった十八世紀中葉の風俗を活写し、賭博屋の主人、偽伯爵、給仕頭など、人間類型として特徴的な登場人物の会話の応酬が面白い「珈琲店」と、傷つけ合う恋人同士を描いた「恋人たち」。十八世紀ヴェネツィアの喜劇二篇。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

51
バッハのコーヒー・カンタータもこのような感じなのでしょうね。18世紀のヴェネチアを舞台にした二つのイタリアの戯曲です。ここでの感想を読んで読みました。ドタバタ喜劇のようですが、せりふを読んでいるとその情景が浮かぶようで、うまいと感じました。それにしてもよくしゃべるような気がします。イタリア人の気質なのでしょうね。2015/03/20

nina

34
まさにイタリアーノなドタバタ喜劇の戯曲二篇。『珈琲店』は18世紀半ば、それまで上流階級の嗜好品だったコーヒーが庶民の間にも急速に広まり、街角に専門店がではじめた頃のヴェネチアの珈琲店が舞台。日本では昨今のブームで評判のお洒落なカフェへわざわざ遠路遥々足を運ぶ人も少なくないが、ここに登場する珈琲店はそういった最先端の風俗である矜持を保ちながらも、今となっては数少ない昔ながらの地元密着型喫茶店のように近所の人々が気軽に憩い互いに接触を持つ中継地でもあったよう。気取らず開けっ広げ、そして小粋な軽さが心地好い。2015/03/06

壱萬弐仟縁

24
表紙見返しによると、18C中葉の風俗活写。会話の応酬。1750年初出。店主リドールフォ曰く、人間には出来るときには他人を助ける義務がございます(78頁)。別の幕でも、店主曰く、人間はみんな過ちを犯すものです。前非を悔いれば、改悛の情は罪過の数々を帳消しにしてくれます(149頁)。訳者解説によると、コーヒーはWWⅡ以前の日本ではまだ特殊な贅沢品だった(350頁)。今朝、ネスカフェバリスタTAMAが当選して驚いた。暮れにきてラッキーだった。もっと営業をということなのだろう。2014/12/24

syaori

16
イタリアを舞台にした喜劇が2本入っています。素直に楽しい本です。どちらの作品にも共通しているのが、登場人物たちが饒舌で活力に満ちていることで、当時のヴェネツィアやミラノの明るい雰囲気が伝わってくるようです。本当に悪い人というのは出てこず、抜け目のない人物や「珈琲店」のドン・マルツィオのようなとぼけた人物が嘴を突っ込んで劇を回していき、楽しい、楽しいと思っていたら読み終わっていたという印象です。軽やかで明るく、人生を楽しもうという気持ちになる本でした。まあ、ドン・マルツィオの扱いはどうかと思ったんですが。2016/02/09

ラウリスタ~

15
18世紀の半ば、ヴェネツィアを舞台にした喜劇。当時流行が始まりつつあった珈琲、そして珈琲店という場で起こる事件。どんちゃん騒ぎで、最後はあんまりにも無理矢理な解決。そして恋人たちでは、舞台はミラノ、愛するが故に相手を信じられず、傷つけ合う二人の滑稽な姿。それをもうさっさとくっつけとばかりにくっつける。なんのことはない、内容の深さなんてみじんもない。でも…とんでもなく面白い。本で読んでこれだけ面白いのだから、実際に観たら抱腹絶倒ものだろうな。250年経っても、色あせぬ普遍的な喜劇。2013/09/09

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/6831402
  • ご注意事項