出版社内容情報
失意の自殺未遂から生還した主人公.以後の人生は紡織工場での労働運動に捧げようと誓うが….『奴隷』続編.
第一篇
第二篇
第三篇
第四篇
注
[解説] 工場労働と人間疎外…………… 鎌田 慧
[解説] 工場生活が生み出した異色のリアリズム…………… 松本 満
関連地図
『奴隷』『工場』の校訂と付注の共同作業について
細井 和喜蔵[ホソイ ワキゾウ]
著・文・その他
内容説明
恋と発明の夢に敗れ、失意の自殺未遂から生還した主人公。以後の人生は紡織工場の奴隷労働解放に捧げようと誓うが…。『女工哀史』著者が、工場現場の女と男の生身の姿を描く迫力の小説。『奴隷』との二部作。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
肉尊
18
飛び杼を発明したジョンケイは「発明家とは人類平和の叛逆者である」と述べ、均等な分配は行われないと考えた。一方、力織機を発明したカートライトは、機械の発明により大戦争が始まったとしても発明家の罪ではなく、人間の欲望が悪いと述べている。根っからの機械好きだった細井和喜蔵。しかし機械によって人の命は簡単に砕かれ、女工たちは劣悪な労働環境から脱出が難しい状況にある。彼の女工への眼差しは紳士(gentil homme)的だ。見様見真似の労働争議もなかなか興味深かった。2021/11/17
MICKE
6
これも映画でお願いします。2019/01/20
なお
5
プロレタリア文学の隠れた(?)名作。大正時代、大阪の紡績工場での過酷な労働環境とそれにストライキで立ち向かおうと奮闘する生き様、また、そんな最中にあって芽生える恋心を生々しく描く。苦境でも頑張る主人公を見て、やる気を貰えました。2021/10/13
金平糖
4
B+。2023/02/22
100名山
4
記録文学の「女工哀史」を自伝的要素を織り込み創作した小説です。「女工哀史」出版後すぐに28歳で夭折した細井和喜蔵の遺作原稿が推敲を経ることなく出版されたものです。残念ながら細井和喜蔵にも知能で人を差別するところがありますが、前編の「奴隷」より創作部分が増え、展開を楽しみに読めました。彼がもう少し長生きしてくれたらと思うと残念です。2019/06/10