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岩波新書
シベリア抑留―未完の悲劇

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  • サイズ 新書判/ページ数 211,/高さ 18cm
  • 商品コード 9784004312079
  • NDC分類 210.75
  • Cコード C0221

内容説明

敗戦直後、旧満州の日本人兵士ら約六〇万人がソ連軍に連行され、長期間の収容所生活を送った「シベリア抑留」。極寒・飢餓・重労働の中で約六万人が死亡したこの悲劇は、今も完結していない。衝撃的な史料の発見、日本政府への補償要求と責任追及…。過酷な無賃労働を強いられた帰還者らは、「奴隷のままでは死ねない」と訴える。

目次

第1章 発端
第2章 移送
第3章 三重苦
第4章 民主化運動
第5章 帰国
第6章 裁判
第7章 闘争
第8章 遺族
第9章 慰霊
第10章 終わらない「シベリア抑留」

著者等紹介

栗原俊雄[クリハラトシオ]
1967年生まれ。東京都出身。早稲田大学政治経済学部卒、同大学大学院政治学研究科修士課程修了(日本政治史)。1996年毎日新聞社入社。現在、東京本社学芸部記者。毎日新聞(大阪本社)に掲載された連載「戦艦大和―生還者たちの平和希求」(2006年11月20日~12月16日)、「続戦艦大和―遺族たちの戦後」(2007年6月18日~7月14日)、「シベリア抑留―帰還者と遺族の戦後」(2008年11月10日~12月2日)で2009年第3回「疋田桂一郎賞」を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

68
ジャーナリストが取材にインタビューを交えて新聞連載していたものを下にしたもの。2009年というタイミングは、生還した人たちに話を聴くギリギリのタイミングだったかもしれない。ソ連参戦から満洲界隈での混乱、移送と収容所でのか国な生活、残る日本軍的上下関係に加え、社会主義を植え付けようとするソ連の動きもある。帰国の際の選別を恐れたある意味不本意な行動、さらに帰国後は東西対立のさなかで白眼視される。保障もほぼされず。ただ、あくまでも日本に視点があるため、やや視野が狭い気もした。もう少し学術的な中公新書版を読もう。2022/12/29

hatayan

50
2009年刊。先の大戦後シベリアに抑留された兵士から当時の記憶を聞き取る一冊。遺体の服を剥ぎ取らなければしのげない寒さ、糞尿に混じった穀物を摘まんで口にするほどの飢え。共産主義を信奉しなければ帰国させないソ連の思想改造。さらに帰国後、関東軍がソ連に日本人を労働力として提供を申し出ていた事実が明らかに。それでも、新憲法の施行される1947年より前に被った損害は賠償の対象ではないと政府は突っぱねます。戦後70年を過ぎても続く、まさに未完の悲劇。暗黒時代の意義を確かめたいとする抑留者の叫びが痛切に響きます。2020/01/30

kawa

20
シベリア抑留悲劇の全貌がコンパクトにまとめられている良書。特に抑留の終わった後の時代の記述に半分近くをさき、日本に戻った引揚者の苦難や責任を認めない日本政府の態度を描く。まだ終わっていない、「未完の悲劇」だと著者は言う。重い指摘だ。紹介される体験談もつらい。2016/06/12

浅香山三郎

17
『勲章』に引き続き栗原俊雄さんの本を読む。未だ抑留された人の正確な数も判明せず、死亡した人の遺骨も戻らず、責任を誰も取らないといふこの問題を、帰還者の証言や様々な史料から辿る。過酷な労働の中で、捕虜同志の旧軍秩序に基づく不平等、ソ連軍による赤化教育による吊し上げなど、帰還後にも様々なカタチで心傷を負ふやうな経験があつたことがわかる。国家が狡猾で、被害者が自ら様々な部分(補償・慰霊)での解決に動かねばならぬ点に、まだまだ戦争の齎した負の遺産を残したまま現在に至つてゐる不条理さを感じざるを得ない。2020/04/16

壱萬弐仟縁

15
30代後半では既に、老兵(8頁)。関東軍兵士は、殆ど武器もない中、重装備のソ連兵と戦いを余儀なくされたという(15頁のスケッチ図)。楠木正成のように賢く、少兵で大軍と戦う・・・(16頁)。できた話ではない。スターリンはポツダム宣言の後、北海道占領を目論むが実現せず、報復として抑留か(32-33頁)。仮に占領されていたら、日本はもっと領土が狭かったのであろう。抑留者と捕虜では、後者の方が身分保障(37頁)。収容所の搾取(56頁)。悍ましい。マイナス30度で重労働。不潔。降伏後が犠牲者多し(67頁)。非戦を。2013/08/06

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