内容説明
舞台はいよいよ飛鳥へ。歴代王宮がこの地に営まれた七世紀、中国大陸・朝鮮半島の動乱に翻弄されつつも、倭国はいくつもの改革を断行し、中央集権国家「日本」へと変貌を遂げていった。推古即位の背景から大化改新、白村江の戦い、壬申の乱、そして大宝律令成立前夜まで。考古学の成果も視野に、激動の時代の実像を最新の知見で描く。
目次
はじめに―七世紀史をどうとらえるか
第1章 飛鳥の王法と仏法
第2章 大化改新
第3章 近江令の時代
第4章 律令体制の確立
おわりに―ハニフのサトから
著者等紹介
吉川真司[ヨシカワシンジ]
1960年奈良県生まれ。1989年京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。現在、京都大学教授。専攻、日本古代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shoji
63
奈良県の明日香村辺りに都が置かれていた時代について、編年体と紀伝体を織り交ぜて叙述しています。この時代、日本史の中では最も濃密な100年だと私は思います。聖徳太子が摂政となり、中央集権化が進み律令体制に向かう時代です。倭から日本へと変わる時代です。その裏には権力闘争が当たり前のように繰り広げられました。大きなターニングポイントと私が思うのは「白村江の戦い」です。この本では大敗と書かれています。歴史に「もし」はありませんが、もし勝利していたら、朝鮮半島と我が国の歴史は全く変わっていたのかなと思います。2017/11/14
レアル
54
この巻の読み処は、何といっても聖徳太子の冠位十二階から、どのような変遷を経て大宝令の位階制度に至ったかという記述。この辺りは殆ど知識不足もあり、他の本を読んでもあまり分からなかったが、この本は分かり易かった。そして歴史の表舞台の裏側に隠れている部分。ここも史実と照らし合わせながらの著者の見解。これも面白い。2019/02/01
翔亀
37
万葉集に触れるとどうしても歴史背景が気になり読んでみた。日本史の通史ものが続々と刊行されていて、どれを読むか悩むものだ。特にこの時代は記紀解釈の細部に拘泥しすぎたりトンデモ説だったり、の中で本書はなかなか見通しが良い。あとがきで「すべて自説に沿って書き」「現時点における学界の通説でない」、だから他の通史と読み比べてほしいと思い切りが良い。なので私も読み比べてしまったのだが、大化の改新や壬申の乱を東アジアの国際情勢との関連で論じ、近江令の天智朝を国際情勢に対処するための<臨戦体制>とするあたりは説得力が↓2017/02/25
びっぐすとん
18
図書館本。この時代になると多少文献も増え、もう少し詳しくわかるようになるが、律令前の制度は馴染みがないので分かりにくい。教科書ではあまり深く扱われていないのでよく知らなかったが、地元豪族や渡来系氏族との繋がりや皇族の中での派閥など複雑だったのだな。遣隋使だけでなく、想像以上に中国、朝鮮との外交があったことに驚き。中国の果ての吐蕃や突厥などの侵攻が日本にも影響してたなんて、東アジア史の中での日本を知ったら、また違う面白さがありそう。飛鳥時代の地名が結構残ってて手掛りになる。安易な地名の改名は良くないな。2019/12/09
fseigojp
14
考古学から歴史学へ まだまだ謎の多い時代2020/03/22