講談社現代新書<br> 経済学の犯罪―稀少性の経済から過剰性の経済へ

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講談社現代新書
経済学の犯罪―稀少性の経済から過剰性の経済へ

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  • サイズ 新書判/ページ数 326p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784062881715
  • NDC分類 331
  • Cコード C0233

出版社内容情報

いまだ収まる気配のないグローバル経済危機。その根本原因を、経済学の起源、貨幣の起源まで遡り、論じきった快著。今日のグローバル経済危機の根源には、私たちが現在「正しい」と思っている市場主義経済学の現実離れした理論があった。アダム・スミス、マックス・ウェーバー、そしてケインズといった賢人が、かつて語っていたことを丁寧に読み解き経済学と現実の関係を再び整理し直す。
さらにグローバル経済危機の中心になる金融市場が必然的に抱える問題を、貨幣の源流にまで根底にある貨幣の誕生にまで遡り明らかにする。
知的興奮とともに、今日の大問題への解決のヒントが見えてくる一冊!

第1章 失われた二〇年―構造改革はなぜ失敗したのか 
「構造改革」が長期的停滞の原因/市場化すべきでなかった「生産要素」/「社会的土台」を市場中心主義が破壊する etc.
第2章 グローバル資本主義の危機―リーマン・ショックからEU危機へ
経済政策のトリレンマ/「国家」が市場に従属する etc.
第3章  変容する資本主義―リスクを管理できない金融経済
金融市場の発展が「ブラック・スワン」を作り出す/世界経済を支えた生産と消費のインバランス/経済学の前提の誤り etc.
第4章  「経済学」の犯罪―グローバル危機をもたらした市場中心主義
シカゴ学派の勝利/「科学としての経済学」の装いの成立/現実離れした理論が政策を動かした二〇年間 etc.
第5章  アダム・スミスを再考する―市場主義の源流にあるもの
アダム・スミスは「市場経済学の祖」なのか/なぜスミスは重商主義を批判したか/「大地」に根ざした経済を擁護/国富は戦略で決まる etc.
第6章  「国力」をめぐる経済学の争い―金融グローバリズムをめぐって
国力と経済学/「交換の経済」と「生活の経済」/ケインズの自由放任批判/「金融グローバリズム」と「ナショナル・エコノミー」の対立 etc.
第7章  ケインズ経済学の真の意味―「貨幣の経済学」へ向けて
貨幣の発生は合理的には説明不可能/経済活動と不確定性/貨幣が過剰性を生み出す/ケインズが「予言」した資本主義の長期的停滞 etc.
第8章  「貨幣」という過剰なるもの―「稀少性の経済」から「過剰性の経済」
ポトラッチに見る「原・交換」/交換を可能にする「過剰なもの」/「ゼロ・シンボル」としての貨幣/「過剰性」を浪費するための「普遍経済」/現代文明にも生きている「ポトラッチの原理」/「過剰性」がさらなる「過剰性」を生み出す金融市場 etc.
第9章  「脱成長主義」へ向けて―現代文明の転換の試み
市場が稀少性を生み出す/豊かだけれど幸せではない日本人/かつての「アメリカの事情」が今日の状況を生んだ etc.


佐伯 啓思[サエキ ケイシ]
著・文・その他

内容説明

私たちが、誤った「思想」を信じ続ける限り、危機からは脱出できない。日本を代表する知性が、経済学の源流、貨幣の誕生まで遡り、危機の本質に迫る知的興奮の書。

目次

第1章 失われた二〇年―構造改革はなぜ失敗したのか
第2章 グローバル資本主義の危機―リーマン・ショックからEU危機へ
第3章 変容する資本主義―リスクを管理できない金融経済
第4章 「経済学」の犯罪―グローバル危機をもたらした市場中心主義
第5章 アダム・スミスを再考する―市場主義の源流にあるもの
第6章 「国力」をめぐる経済学の争い―金融グローバリズムをめぐって
第7章 ケインズ経済学の真の意味―「貨幣の経済学」へ向けて
第8章 「貨幣」という過剰なるもの―「稀少性の経済」から「過剰性の経済」へ
第9章 「脱成長主義」へ向けて―現代文明の転換の試み

著者等紹介

佐伯啓思[サエキケイシ]
1949年奈良県生まれ。東京大学経済学部卒業。同大学大学院経済学研究科博士課程単位取得。現在、京都大学大学院人間・環境学研究科教授。著書に『隠された思考』(筑摩書房、サントリー学芸賞)、『「アメリカニズム」の終焉』(TBSブリタニカ、東畑記念賞)、『現代日本のリベラリズム』(講談社、読売論壇賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

えちぜんや よーた

27
最近のリーマンショックにはじまる、 金融資本主義や、政治哲学・経済思想の問題など、 著者の佐伯先生は、「ビッグワード」からの問題提起を行っています。 読んでいると、これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学の 著者のマイケル・サンデル先生や、世界の99%を貧困にする経済の著者である、 ジョセフ・スティグリッツ先生の考えと、似ているような気がします。 三人とも、「国家」・「市場」以外の、第三勢力の台頭を考えておられるからです。2012/11/29

大先生

14
凄いタイトルですね(笑)本書に「犯罪」の話はなく、あくまで「(市場競争中心の)経済学」を批判する内容です。キーワードは「過剰性」。【金融市場は活発で「過剰な資本」が流通し、実物市場では「過剰な生産」が生み出されている。前者ではバブル、後者ではデフレが発生し、それらが共存するという奇妙な現象が起きた。成熟社会では、成長に必要な需要・欲望は形成されない。脱成長主義(=低成長前提)の社会で「善い社会」を構想していくしかない。具体的には、安全・安定を確保し、文化・教育・地域に配慮した社会】2021/10/01

魚京童!

13
金だー、金だー。すべては金だ。2015/11/03

さっとん

8
経済学の要約が上手い。経済学部の人が最初にこの本で大枠を掴んでおくと、教科書を読むときに瑣末なところに囚われ過ぎず、効率の良い学習ができそう。現在のマクロ経済学の考え方(市場原理主義、需要供給)と、ケインズの主張の本質が食い違っているという指摘は非常に参考になった。現行の経済学は貨幣をただの仲介者としてしか見ていないが、ケインズが注目したのは価値が保存されるという貨幣の特殊性。この貨幣の特殊性がもたらす影響をより理論的な形で示すことができれば、世界の経済を見る目を一変させることができるかもしれない。2019/04/21

うえ

6
リーマンショックから新自由主義、ハイエク、ケインズの読み返し、貨幣論と過去を遡りつつ経済学を考える「よく日本は借金だらけだといわれるが、これは政府部門の話で、民間部門はその分だけ資産増となっている…資金は、一度政府部門を通して再び民間部門へ戻ってくる。国内で循環しているのである」「資本の移動は過度に自由化され流動化されいまやほとんど中央銀行による管理に服さなくなった…各国の金融政策は有効性を失ってしまった」「中国は、決して世界経済の安定化のために国内秩序の課題を無視することはありえない」2015/01/05

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