出版社内容情報
通商帝国・大モンゴルが世界史の流れを変えた。本当に「野蛮な破壊者」だったのか? 西欧中心・中華中心の歴史観を覆す。13世紀初頭に忽然と現れた遊牧国家モンゴルは、ユーラシアの東西をたちまち統合し、世界史に画期をもたらした。チンギス・カンの孫、クビライが構想した世界国家と経済のシステムとは。「元寇」や「タタルのくびき」など「野蛮な破壊者」というイメージを覆し、西欧中心・中華中心の歴史観を超える新たな世界史像を描く。サントリー学芸賞受賞作。(講談社学術文庫)
第一部 あらたな世界史像をもとめて
1 モンゴルとその時代
モンゴルの出現/目に見えるユーラシア世界/モンゴル時代のイメージ
2 モンゴルは中国文明の破壊者か
奇妙な読みかえ/杭州入城の実態/政治ぬきの繁栄
3 中央アジア・イランは破壊されたか
チンギス・カンの西征と「破壊」/中央アジアでの「大虐殺」/中央アジアは駄目になっていない
4 ロシアの不幸は本当か
「タタルのくびき」/アレクサンドル・ネフスキーの評価/ロシア帝国への道
5 元代中国は悲惨だったか
抑圧・搾取・人種差別はあったか/科挙と能力主義のはざま/元曲が語るもの
6 非難と称賛
文明という名の偏見/極端な美化という反動
7 世界史とモンゴル時代
ふたしかなシステム論/世界史への視角
第二部 世界史の大転回
1 世界史を変えた年
アイン・ジャールートの戦い/戦いのあと/ふたつのモンゴル・ウルスの対立/モンケの急死
2 クビライ幕府
クビライの課題/混沌たる東方/なぜ金蓮川なのか/あるイメージ
3 クビライとブレインたち
モンゴル左翼集団/謎のクビライ像/政策集団と実務スタッフ/対中国戦略
4 奪権のプロセス
鄂州の役/クビライの乱/世界史の大転回
第三部 クビライの軍事・通商帝国
1 大建設の時代
なにを国家理念の範とするか/第二の創業/「首都圏」の出現/大いなる都/海とつながれた都/運河と海運、そして陸運
2 システムとしての戦争
おどろくべき襄陽包囲作戦/南宋作戦のむつかしさ/戦争を管理する思想/モンゴル水軍の出現/新兵器マンジャニーク/驚異のドミノくずし現象/中国統合
3 海上帝国への飛躍
南宋の遺産/世界史上最初の航洋大艦隊/海洋と内陸の接合
4 重商主義と自由経済
クビライ政権の経営戦略/国家収入は商業利潤から/銀はめぐる/ユーラシアをつらぬく重量単位/紙幣は万能だったか/「高額紙幣」は塩引/ユーラシア世界通商圏
5 なぜ未完におわったか
モンゴル・システム/早すぎた時代/記憶としてのシステム/ふりかえるべき時
あとがき
学術文庫版あとがき
杉山 正明[スギヤマ マサアキ]
著・文・その他
内容説明
十三世紀初頭に忽然と現れた遊牧国家モンゴルは、ユーラシアの東西をたちまち統合し、世界史に画期をもたらした。チンギス・カンの孫、クビライが構想した世界国家と経済のシステムとは。「元寇」や「タタルのくびき」など「野蛮な破壊者」というイメージを覆し、西欧中心・中華中心の歴史観を超える新たな世界史像を描く。サントリー学芸賞受賞作。
目次
第1部 あらたな世界史像をもとめて(モンゴルとその時代;モンゴルは中国文明の破壊者か;中央アジア・イランは破壊されたか;ロシアの不幸は本当か;元代中国は悲惨だったか;非難と称賛)
第2部 世界史の大転回(世界史を変えた年;クビライ幕府;クビライとブレインたち;奪権のプロセス)
第3部 クビライの軍事・通商帝国(大建設の時代;システムとしての戦争;海上帝国への飛躍;重商主義と自由経済;なぜ未完におわったか)
著者等紹介
杉山正明[スギヤママサアキ]
1952年、静岡県生まれ。京都大学大学院文学研究科教授。1995年に『クビライの挑戦―モンゴルによる世界史の大転回』でサントリー学芸賞、2003年に司馬遼太郎賞、2006年に紫綬褒章、2007年に日本学士院賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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