講談社学術文庫<br> カール・クラウス―闇にひとつ炬火あり

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講談社学術文庫
カール・クラウス―闇にひとつ炬火あり

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  • サイズ 文庫判/ページ数 248p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784062923316
  • NDC分類 940.28
  • Cコード C0110

出版社内容情報

ベンヤミンが、ウィトゲンシュタインが敬愛した巨人。腐敗する世の中に〈ことば〉だけで立ち向かったクラウスを読む時が来た!本書は、稀代の作家・ジャーナリスト・編集者カール・クラウス(1874-1936年)の生涯を描いた日本語による唯一の書物である。
モラヴィア出身のユダヤ人として生まれたクラウスは、1899年にウィーンで評論誌『炬火(Die Fackel)』を創刊する。ヨーロッパがやがて世界大戦に向かう激動の時期を迎える中、クラウスは編集者としての役割を越え、1911年末以降は『炬火』をたった一人で編集・執筆する個人誌に変貌させていった。そうして権力や社会や文化の堕落・腐敗に鋭い批判を突きつけていった『炬火』は常に毀誉褒貶の対象であり続けることになる。
また、クラウスは1910年から定期的に朗読会を開催し、自身のものを含めたさまざまな作品を聴衆の前で読む企てを始める。この会は没年まで実に700回に及んで行われ、とりわけ圧倒的な支持を寄せた若者たちに深い影響を与えた。そして、いよいよ大戦が間近に迫る状況の中、クラウスは反戦劇『人類最期の日々』の執筆に邁進し始める。全5幕219場、登場人物は600人以上に及び、上演すれば10日以上を要すると著者自身が言うこの気宇壮大な戯曲は、皇帝、将軍、文学者、新聞記者、政治家、官僚、娼婦、闇商人、町の遊び人に至るまで、ありとあらゆる種類の人間の言葉を新聞・雑誌などから縦横無尽に引用して織りなされる作品である。
のちに同じ引用の織物による書物を志したヴァルター・ベンヤミンは、クラウスを深く敬愛していたことが知られる。ベンヤミンのみならず、エリアス・カネッティも、ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインも、クラウスの崇拝者だった。世紀末から世界大戦に向かう時期のヨーロッパを語る上で、クラウスは決して無視できない存在であることは間違いない。著者が深い思い入れと情熱を注いだ本書は、この知られざる巨人の生涯を鮮やかに浮かび上がらせる。
激動する世界の中で堕落と不安が蔓延するとき、メディアは、そして〈ことば〉はいかなる力をもちうるのか。この根源的な問いに、まさに身をもって答えようとした巨人に触れるべき時が、今、訪れている。

 はじめに
I 生い立ち
II 世紀末ウィーン
III 『炬火』年代記
IV 『黒魔術による世界の没落』
V ことばと戦争
VI 一〇六五通の恋文
VII 「ゴロツキ、出ていけ!」
VIII ことばとナチズム
IX 半世紀遅れの「追憶の書」
 おわりに
学術文庫版あとがき


池内 紀[イケウチ オサム]
著・文・その他

内容説明

作家・ジャーナリスト・編集者として活動したカール・クラウス(一八七四‐一九三六年)は、評論誌『炬火』を一人で編集・執筆し、激動する世界の中で権力や政治の堕落・腐敗に“ことば”だけで立ち向かった。ベンヤミンやウィトゲンシュタインが敬愛したこの無二の人物を描いた日本語による唯一の書物は、著者の深い愛情と尊敬の念がこもっている。

目次

1 生い立ち
2 世紀末ウィーン
3 『炬火』年代記
4 『黒魔術による世界の没落』
5 ことばと戦争
6 一〇六五通の恋文
7 「ゴロツキ、出ていけ!」
8 ことばとナチズム
9 半世紀遅れの「追憶の書」

著者等紹介

池内紀[イケウチオサム]
1940年、兵庫県姫路市生まれ。ドイツ文学者・エッセイスト(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

masabi

19
【要旨】ウィーンの諷刺家カール・クラウスの解説。【感想】その著作は言葉遊びが満載で翻訳では自ずと限界にあたる。言葉の使い方ひとつ、句読点の打ち方ひとつを捉えてきらびやかに飾られた言葉の裏にどんな醜い本性や欲があるのかを暴いていった。言葉がまさに彼の武器だった。2016/11/18

yasuhitoakita

4
世紀末ウィーン。ペン一本で権力に対峙したイケてるオヤジ、カール・クラウス一代記。舞台は世紀末ウィーンでありながら、クラウスが対峙した俗物たちって、現代日本にもごろごろいそうで(ほれ、おーさかでなぜか人気の某ごろつき政党とかとか)、俗物根性は永遠なのねという慨嘆ががが^^;著者池内氏の疾走するような文体も魅力な一冊。2017/06/27

iwasabi47

1
池内紀氏の若い頃に書かれた著作のようで、ウィーン世紀末の批評家カールクラウスの評伝。LWやフロイトが影響受けたらしいので手に取ってみた。当時ブルジョワジーの欺瞞を苛烈に一人ペンで戦い続けた。クラウスの批評の苛烈さをなんとか著者が読者に伝えようと熱くなってのが判る。やはりクラウスの文章に当ってみるのがいいだろう。2017/01/31

Orange

1
19世紀末ウィーンが生み出した頸烈な批評家の評伝。論争につぐ論争で敵つくりまくり、襲撃されること多数、しかし信条を曲げず雑誌を発行し続ける、いろいろと規格外な人。嫉妬してしまうぐらいにステキ。女性にたいして辛辣な警句も連発したが、一方で、ひとりの女性に宛てたラブレターが1065通残されていたりする。黒歴史だ…。「愛して、欺かれ、嫉妬する。さも道理か。ところでさらに不快なのは、嫉妬して、欺かれ、愛する!」このモテなさそう具合も完璧。2015/11/27

茶山

0
1対200万。言葉を武器に、全ウィーン市民を敵に回すことも辞さない覚悟。炎上上等。凄まじい魂。2018/07/20

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