内容説明
19世紀末、ロンドンにフーリガンと呼ばれる不良集団が現れた。首にネッカチーフをまき、ラッパズボンにピカピカのブーツをはいて集団暴力を振う少年たち。彼らの名が現在にいたるまで、イギリス社会の規範に激しく抵抗する若者を象徴する言葉として深く根を下ろしていったのはなぜか。彼らをとりまく労働者階級の家庭、学校教育、娯楽、労働、ボーイ・スカウトに代表される少年運動などを通して衰退期を迎えた大英帝国に接近する。
目次
1 フーリガン登場
2 ミュージック・ホールへいく子どもたち
3 豊かな社会の子どもたち
4 フーリガン現象のイギリス流解釈
5 学校へいく子どもたち
6 ベイデン‐パウエルのボーイ・スカウト運動
7 少女フーリガン
むすびにかえて―フーリガンの行方
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
3
19世紀末のイギリス、どこからとも無く「フーリガン」と呼ばれる若者の一群が出現した。今では「過激なサッカーファン」として名を残すフーリガン誕生にまつわる、ヴィクトリア朝末期のイギリス社会を見る。産業構造や教育制度の変化などから、どんどん活動的になる労働者階級と、それを恐れる中産階級の封じ込め政策とのせめぎ合い。そんな当時の社会の隙間から生まれ出た、いわば鬼子のような存在がフーリガン。それは労働者階級の中に伝統的価値観として根付き、今の過激なサッカーファンも、ちゃんとその伝統に沿って存在しているとは!2014/08/16
TAC
0
☆x4 93年読了。全く無関係な訳ではないが フットボウル物ではない。19世紀末の歪んだ構造 その中で最も甚大な害を被ったといえる少年層の実態に迫る。英国の世紀末芸術 殊に文学を慈しむ向きには読んで損のない内容。2003/03/15