中公新書<br> ルポ 生活保護―貧困をなくす新たな取り組み

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中公新書
ルポ 生活保護―貧困をなくす新たな取り組み

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  • サイズ 新書判/ページ数 244p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121020703
  • NDC分類 369.2
  • Cコード C1236

内容説明

現在、生活保護受給者は全国平均で八〇人に一人。雇用、教育、年金制度など社会のさまざまな矛盾が貧困の連鎖を生み、厳しさを増す地方財政がその困難な生活に拍車をかける。しかし今、生活保護こそを貧困から抜け出すステップにしようとの動きが生まれている。自立プログラムの「先進地」釧路など数多くの例を引きながら、経済偏重に陥らない、本来の自立とは何かを問い、貧困をなくすために何が必要かを探る。

目次

第1章 生活保護とは何か
第2章 母子家庭と貧困の連鎖
第3章 こぼれ落ちる人々
第4章 格差と貧困
第5章 負担ではなく投資
第6章 自立支援プログラム
第7章 どう改革するか

著者等紹介

本田良一[ホンダリョウイチ]
1959(昭和34)年、熊本県生まれ。82年、京都大学経済学部卒業。古河電工、北海道庁を経て、85年、北海道新聞社入社。根室支局、本社政治部、ハバロフスク駐在、東京支社政治経済部、モスクワ駐在、東京支社国際部、小樽支社報道部などを経て、現在、釧路支社報道部編集委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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Miyoshi Hirotaka

42
炭鉱、製紙、水産で栄えた釧路市だが、地域経済の衰退により全国トップクラスの生活保護率となった。これにより生活保護は、農業、林業が創出する付加価値と同規模になり、地域経済を下支えする基幹産業になった。冗談のような話だが、これは現実。貧乏は恥ずかしいことではないが、そこから脱しようとしないのは個人も社会も恥ずかしいことだ。特に、貧困の再生産を断ち切る教育支援や社会起業には最優先で取り組むべき。一方、不正受給は制度に対する信頼を損ね制度や利用者までもが問題視されかねない。厳しくチェックし、徹底的に排除すべきだ。2015/06/05

こんじろん

18
生活保護の本来の目的は自立を支援すること。しかし、その自立を狭い意味でとらえて経済的自立とイコールになってしまっている。早く働け、生活保護から抜けろ、と。本当はその前段階の社会的自立から始めなければならない。だが、社会的自立を果たしただけでは、役所としては成果が数字(生活保護費の減少)に表れてこないので、取り組みがなかなか広がらないとか。年金制度の不備で年金だけでは生活できない高齢者の受け皿にも生活保護がなっているという問題も。政府支出に占める教育支出の割合は先進主要国中最下位レベル。2013/06/09

Humbaba

14
生活保護になると,そこから抜け出すのが困難である.特に,独力で生活保護から抜けられるのは本当に限られた人間のみである.そのため,抜け出すための活動が動いており,実際に効果を上げている.2011/06/28

Nobu A

13
生活保護受給者は全国で80人に1人(2010年)。これを多いと見るか、少ないと見るか。「格差社会」はある意味、資本主義社会のあるべき姿。しかし、「貧困」とは何か。「貧困」の理論的な解説から複雑に絡む社会問題を分析・考察。生活保護は負担でなく投資という意識改革と海外の取り組みや「負の連鎖」を断ち切るような地方での色々な実践には少し希望が持てる。少子高齢化が進む将来のために我々一人一人が「社会的包摂」という意識で取り組まなければならない切実な問題。ただ、ルポと謳っているので現地報告、生の声がもっとほしかった。2016/01/24

壱萬弐仟縁

11
米軍への思いやり予算や中国へのODAを減らすことができない財政が、真に困っている経済社会弱者への手当てが減らされていく政策になってきた。シビルミニマムとは何か。福祉とは何か。根源的問いが必要。生活費と生活の一文字違いだが、生存権の最低限とのレベルの話(9頁)。母子家庭が貧困から脱出できない(43頁)。ODも同様。低学歴でも高学歴過ぎても貧困というおかしな家計。格差は開き直れるが、貧困は価値判断(121頁)。非正規雇用は募集しても来ないのはCVSのバイト、パート募集の張り紙で理解できる。自立とは何からの? 2013/04/25

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