内容説明
「人魂を捕らひし人の事」「神隠しの男子の事」「蛇に犯されし女の事」「神童寅吉が事」…ここには、霊異、霊験、神異、冥界、祟り、生霊、怨霊、現世(うつしよ)と幽世(かくりよ)など、ありとあらゆる奇異(あや)しい話が収集されている。それは、畏怖の念であるとともに、日本人の心の深層に潜む宗教意識にほかならない。柳田国男は、本書の「紀州八木山の里山神祭の事」から名論文「山の神とヲコゼ」を生み、ほかにも珍しい話をさまざま摘記し自説の展開に生かしている。日本民俗学、説話文学の幻の名著。今回、新たに発見された著者自筆本を校訂し、語注を付す。
目次
飛び梅の事
平判官康頼が歌の事
二条中将為明卿の事
難波の浦賎の夫婦の事
敵を討ちし幽霊の事
北海粟島の事
早苗山の事
牡丹山の事
越後国葦が原の事
蛇を喰ひし人の事〔ほか〕
著者等紹介
宮負定雄[ミヤオイヤスオ]
寛政9年(1797)‐安政5年(1858)。下総(現・千葉県)香取の人。名主の家に生まれるも、35歳のときその仕事に嫌気がさし、酒食に溺れ生家を逐われる。また、遊女と駆け落ちをするなど、漂伯放浪の人生をおくるが、平田篤胤の門人として、多くのフィールドワークを行う
佐藤正英[サトウマサヒデ]
1936年生まれ。東京大学文学部倫理学科卒業。現在、東京大学名誉教授
武田由紀子[タケダユキコ]
1936年生まれ。日本女子大学国文科卒業。国文学専攻。宮負定雄の文献に親しみ、「宮負家資料」の解読に取り組む(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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