出版社内容情報
日本において建築はどう発展してきたか。伊勢神宮・法隆寺・桂離宮など、この国独自の伝統の形を通覧する日本文化論。
内容説明
日本固有の建築―それはどのように構築され、また発展を遂げてきたのだろうか。伊勢神宮・法隆寺・桂離宮・金閣寺・銀閣寺など、名建築を時代を追ってつぶさに見ていくことで、外来の様式の影響を受けつつ築きあげられてきた、この国独自のかたちの系譜が浮かびあがってくる。中世の仏教建築は大陸から何を採り入れたか、日本の住宅の室内意匠はどうして装飾の少ないシンプルなものになったのか。日本建築史の泰斗が、時代の経済状況・社会制度から人々の生活・考え方までを考慮しつつ、歴史的建築を論じた、生き生きとした日本文化論。写真・図版多数収録。
目次
原始住居の復原
日本建築様式の成立
平安京
藤原貴族の住生活
入母屋造本殿の成立
鎌倉時代の建築と工匠
和様と宋様
金閣と銀閣
城と書院
桂離宮
江戸の防火
平城京跡の発見
建築遺跡調査の発展
平城京跡の保存
著者等紹介
太田博太郎[オオタヒロタロウ]
1912年、東京生まれ。1935年東京帝国大学建築学科卒業。東京大学教授、九州芸術工科大学学長、武蔵学園長などを歴任。専門、日本建築史。2007年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かんがく
13
理系学問でありながら歴史が重要な意味を持つ建築学。竪穴式住居から、江戸の防火対策まで、遺跡や史料をもとに丁寧に研究。やや読みづらさもあったが、住居、都市、寺社、城郭の特性を知ることでその時代の文化の理解が進む。2020/02/14
アメヲトコ
8
1968年刊の文庫化。竪穴式住居から現代の平城宮跡の保存まで、時代を追って日本の伝統建築の特質を平易に解説した一冊です。古い時代については、日本対中国とか日光対桂とか、今から見るとかなり素朴な分析がなされている感じですが、終盤の保存・発掘について取り上げる章はとても面白く、関野貞の平城宮跡発見のエピソードは実にアツい。本書最後で著者が披露する平城宮跡整備構想については現在実現しているところが多くて驚かされます。2020/05/18
岡本 雄大
1
『日本の建築 - 歴史と伝統』太田博太郎 なぜイス座が主流とならなかったのか。世界的に見ても珍しい。 この本にまとめられている14本のテキストすべてにおいて迫ろうとしている問題は、日本の伝統とは何か。 床座が主流であった日本の伝統も、今では完全に失われている。世界最長といわれる日本人の座位時間のほとんどがイスの上である。 自分たちがどこに向かおうとしているのかという視点を刺激された一冊であった。 歴史は揺れ動くのが常。再び生活、文化が大きく変化している今、建築史の大家よりも高く俯瞰してみたい。 2024/01/28