ちくま学芸文庫
われわれの戦争責任について

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  • サイズ 文庫判/ページ数 256p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480096692
  • NDC分類 234.074
  • Cコード C0110

出版社内容情報

時の政権に抗いながらも侵略国の国民となってしまった人間は、いったいにどう戦争の罪と向き合えばよいのか。戦争責任論の不滅の名著。解説 加藤典洋

内容説明

哲学者ヤスパースは、第二次大戦敗戦戦直後、「戦後」を生き抜く指針となる、敗戦国民の責任の取り方を論じた。曰く罪の種類を刑法上の罪、政治上の罪、道徳上の罪、形而上的な罪に四分類し、刑罰の対象を個人のレベルに限定しつつ、国民全体としては侵略の歴史を保持し続けることで罪を償うというもの。戦勝国の罪にも触れながら責任のありかを追究した本書の思索は、いまなお、あらゆる戦争責任論のベースとなっている。

目次

ドイツにおける精神的状況に関する講義の序説(大学の現状、新たな自由)
罪の問題(区別の図式;ドイツ人としての問題)

著者等紹介

ヤスパース,カール[ヤスパース,カール] [Jaspers,Karl]
1883‐1969年。精神病理学から哲学に転じ、実存主義哲学を創唱したドイツの哲学者。1921年にハイデルベルク大学哲学教授となるが、1937年にナチスからユダヤ系夫人との離婚勧告を受け拒否。これにより大学を追放される。戦後復職し総長代理となるが、1948年にスイス・バーゼル大学教授に転じ1961年まで同大学で教えた

橋本文夫[ハシモトフミオ]
1909年‐1983。ドイツ語学者。東京帝国大学文学部独文科を卒業後、中央大学教授をつとめた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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藤月はな(灯れ松明の火)

93
ユダヤ人の妻と離婚しなかった為にナチス政権下にあった大学から追放されたヤスパース。そんなヤスパースが「ドイツ国民」として戦争責任を指摘したのが本著である。「個ではなく、集団として一概化した見方を押し付ける」など、今の世界を見ているとまた、同じ事を繰り返しているなと思う。三菱重工への訴訟など、戦争に対する罪に向き合わず、その場しのぎの事をし続けた代償が返ってきたのにまだ、向き合おうとしない日本。そしてそれらに無関心な私たちは、ヤスパースがこの本で指摘してきたような轍を懲りずに踏み続けているのではないだろうか2019/01/22

nobi

71
ドイツ敗戦直後の疲弊困窮の中にあって、戦争の罪についての論を分かりやすく構築展開する気力が凄い。人々の日常を破壊する戦争の有り様が日々報じられる中、この問題提起は極めて今日的でもある。一部の先導者だけが罪を贖えばいいのではない、ナチスに抵抗した側のヤスパースですらドイツ国民として罪を有する、と潔い。もあってもし独裁国に生まれていたら等自分の身に置き換えて読んでしまう。戦勝国が敗戦国を裁く妥当性、ニュルンベルク裁判の節度ある審判、当時のイギリスの傍観的外交等々も興味深い。その贖罪論はどこか神々しい人生論へ。2022/05/25

壱萬弐仟縁

34
1965年初出。われわれは語り合うことを学びたい。自分の意見を繰り返すばかりでなく、相手方の考えているところを聞きたい。全般的な関連を置いて思索、理のあるところに耳を傾け、新たな洞察を得るだけの心構えを失いたくない。相手方を認め、内面的に相手方の立場に立ちたい(021頁)。 本質的な問題を逸脱して個々のそれ自体としては正しい問題に移り、全体であるかのように扱ったり、故意に他国の欠点を探し(当てたりするのは)、罪の問題を回避する態度(193頁)。2015/06/13

魚京童!

15
戦争を考えるには、4月はあまりにも馬鹿すぎる。2015/04/23

ラウリスタ~

13
ユダヤ人であった妻との離縁を拒否し、大学を追われたヤスパースが戦後、それでもヒットラーを生んだドイツ人として、自分たちの戦争責任を考える本。46年の講演をもとに。ただ、他の戦争責任論を知らないからか、なにがヤスパース独自なものなのかは分からない。2015/04/28

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