出版社内容情報
「日本美術」は明治期、「絵画」他多くの用語とともに産みだされた概念だ。近代国家として出発した時代の思想と機構に切込む先鋭的書。解説 北澤憲昭
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作品じたいは古くからあった。しかし、「日本美術史」という歴史体系は、「ことば」によって近代日本につくられたのである――。本書はまず、明治期に「絵画」などの美術用語が作られていく過程、また「日本画」「西洋画」「歴史画」「裸体画」「風景画」といったジャンルが規定されていく過程を綿密に追う。その背後にあるのは、近代日本で芽生えた国家思想、つまりナショナリスティックな「日本」意識と、欧化・国際化との相克だ。作品・作家を生み出し支えた政治的・社会的機構をとおして、新たに近代美術の深部を抉りだす。 解説 北澤憲昭
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美術を動かす国家意識と制度――
「ことば」が美術史を規定した
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【目次】
序章 美術の言語と言説
第一章 「近代日本美術」とはなにか――時間と地理の枠組
1「日本」を考える
2「美術」「日本美術」「日本美術史」
3「近代」の範囲と意味
第二章 美術の文法
1造語の方法論
2「美術」はどう造語されたか
3「絵画」の成立
4「彫刻」か「彫塑」か
5「工芸」という包括
第三章 ジャンルの形成――「日本」をめぐる論争
1森鴎外反駁
2対概念としての「日本画」「西洋画」
3「歴史画」
4人間と自然
5「近代美術」と「現代美術」
第四章 美術の環境――階層・行政・団体・コレクション
1美術と階層
2美術行政
3 美術団体の誕生
4 コレクションの社会学
終章 「日本美術史」の創出
註
参考文献
あとがき
文庫版著者あとがき
文庫版解説「ことば」と「機構」――自己探求としての日本近代美術史論 北澤憲昭
内容説明
作品じたいは古くからあった。しかし、「日本美術史」という歴史体系は、「ことば」によって近代日本につくられたのである―。本書はまず、明治期に「絵画」などの美術用語が作られていく過程、また「日本画」「西洋画」「歴史画」「裸体画」「風景画」といったジャンルが規定されていく過程を綿密に追う。その背後にあるのは、近代日本で芽生えた国家思想、つまりナショナリスティックな「日本」意識と、欧化・国際化との相克だ。作品・作家を生み出し支えた政治的・社会的機構をとおして、新たに近代美術の深部を抉りだす。
目次
序章 美術の言語と言説
第1章 「近代日本美術」とはなにか―時間と地理の枠組
第2章 美術の文法
第3章 ジャンルの形成―「日本」をめぐる論争
第4章 美術の環境―階層・行政・団体・コレクション
終章 「日本美術史」の創出
著者等紹介
佐藤道信[サトウドウシン]
1956年秋田県生まれ。東北大学大学院修士課程修了。専攻、日本美術史。板橋区立美術館学芸員、東京国立文化財研究所研究員を経て、東京藝術大学美術学部教授。著書『明治国家と近代美術』(吉川弘文館、サントリー学芸賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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