内容説明
なぜ、木彫りの面が、かくも多彩な表情を見せるのか―。これまで美的、芸能的観点から見つめられてきた能面。そこに科学的にアプローチすることで、その「表情」の由来がさらに解明される。材質研究、放射光X線CTなどの技術を駆使して、能面の内側まで「見つめる」、新たな能面研究。宗教学者・山折哲雄氏、金剛流宗家・金剛永謹氏の論考も掲載。
目次
第1部 見つめる能面(弘安元年銘翁面をめぐる考察―能面研究の射程;能面のような人;演者の視点から見る能面)
第2部 世界の仮面を見つめる(ヨーロッパの仮面と仮面劇;中国の仮面と仮面劇;韓国の仮面と仮面劇―その歴史的展開と諧謔性を中心に)
第3部 能面を見つめる(人類学の視点から見る仮面―仮面という装置が明かす人類の普遍性;仮面と化粧、博物館、そして誤解をめぐる考察;能面の古層―神楽面から見えること;猿楽面と神楽面;能面制作における模倣の概念について;能面模写とその図像的特徴、および能面制作に関するさらなる考察;材料科学の視点から見る能・狂言面;面の材質を科学する;若い女面―その演出と美学の変遷)