出版社内容情報
琵琶法師たちに語られ流布した軍記物『平家物語』には、危機にみちた日常を生き抜いていった人びとが数多く登場する。そのなかから10人を選び出し、彼らを中心とする人間模様を通して作品を読み解き、その魅力に迫る。
内容説明
琵琶法師たちに語られ流布した軍記物『平家物語』には、危機にみちた日常を生き抜いていった人びとが数多く登場する。そのなかから十人を選び出し、彼らを中心とする人間模様を通して作品を読み解き、その魅力に迫る。
目次
平忠盛
祇王・仏
俊寛
文覚
平清盛
木曾義仲
源義経
平忠度
平知盛
著者等紹介
永積安明[ナガズミヤスアキ]
1908年山口県に生まれる。1932年東京大学文学部国文学科卒業。神戸大学教授、清泉女子大学教授などを歴任。1995年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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shoko
21
入門書としてとても良かった。平家物語の大勢の登場人物の中から特に代表的な十人を選び出し、それぞれの生き方を追いかけることで平家物語を理解しようという、人間群像からのアプローチ。背後にある仏教の教え(祇園精舎の鐘の音とは?)や、さまざまな語り手による挿話が取り込まれたことによって物語の豊かさが増している(ただの軍記にとどまらない抒情性、日本全国にまたがる説話を捉えた地理的広範さなど)ことなど理解できた。2022/08/19
氷柱
6
837作目。3月11日から。特定の人物たちに焦点を当てながら『平家物語』が語られて行く。唐突に古文パートに突入したかと思いきやすぐに親切な訳文に移る辺りの急行運転感がたまらない。全体的に親切設計であり文章も非常にわかりやすくなっている。この時代の入門編と呼んでも良い程のとっつきやすさを誇っているので、興味のある方は是非とも一読する価値がある。主な登場人物だけではなく明らかな脇役にも言及があり、そこから平家や源氏の動向がわかる辺りに臨場感が宿っている。2022/03/13
とりもり
1
名著。平家物語に登場する代表的な人物10名のエピソードを通して、平家物語の流れが分かると同時に、「盛者必衰」という全体を通底する思想を理解することができる構成が見事。平家物語といえば、おごれる平家が滅亡していくだけの物語かと思いきや、もっと多面的な視点を持った記載になっており、非常に興味深い。琵琶法師の語りのリズムを感じるためにも、単なる現代訳だけでなく原文を読んでみるというのも非常にいいかも。有名な出だしが一番最後に記載されているのも非常に良かった。オススメ。★★★★★2022/03/13