岩波文庫
科学の価値

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  • サイズ 文庫判/ページ数 303p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003390238
  • NDC分類 401
  • Cコード C0140

出版社内容情報

二十世紀初頭,様々な科学論の流行するなかで,数理的科学,物理的科学の「自主性」に即しながら,直観・論理・解析,科学の客観的価値についての考察を平易にまた説得的に展開する.「科学のための科学」の主題は,以後輩出する科学批判家の科学認識論に大きな影響を与えた.『科学と仮説』に続くポアンカレ四部作の第二集.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

12
真理の探究(9頁)。そのためには、独立独歩(10頁)。強い著者像。「瞬間tにおける木星の位置に加うるに、瞬間t+αにおける土星の位置を知っていれば、どの瞬間における木星の位置も、またどの瞬間における土星の位置をも決定できる」(65頁)。天文学と数学の密接な関わりが理解される。前著も物理学と数学が並置されていたので、1905年当時の自然科学の相関が気になる。数理物理学の主たる目的は、物理学者に新しい側面からものごとを見るようにさせることにより、ものごとの中にかくされた調和を知らしめることにある(158頁)。2013/12/22

テキィ

8
図書館で借りたらすごい鉛筆で書き込みやマークが… ポアンちゃんというキャラクターまで描いてあったのには仰天。買ったほうが良い本なんだけど、そうやって本が増えて引っ越しで困るんだよな~2011/05/23

roughfractus02

4
客観性とは何かという問いに哲学と科学の違いを見出す著者は、科学の客観性(objectivity)を、対象(object)が他者と共有する知識体系の中で位置づけ可能なことと規定する。それゆえ科学理論の価値は法則等の説明に対する利便性に求められ、その実践としてエーテル仮説を用いる本書はどこか古めかしく見える。が、このプラグマティックな態度は、実験や観測に合わなければ廃棄する仮説に留まらせ、認知バイアスを軽減させる柔軟性を科学に与える。「エーテルが無用だということで放棄される日がもちろんいつかくる」(p241)2017/10/11

N_inves843

3
数理的科学、物理的科学、科学の客観的価値の三部から成るポアンカレの思想が述べられた本。数学の審美眼的目的と物理学的目的は互いに切り離せない関係にあり、ともに歩むことで大きな恩恵が得られる。物理的科学の中でエーテルを用いた説明がされており、特殊相対性理論前にどのようなアプローチがとられていたかわかり面白い。科学の価値とは科学的事実とは何かを知ることであり、それは物事の関連を知ることであり、人類に共有の財産である。「思想は長い夜のさなかにある一閃の光に過ぎない。しかし、この一閃の光こそすべてなのである。」2012/06/08

人工知能

2
数学者ポアンカレらしく、明晰な文体。空間はなぜ3次元なのか、という話がすごくおもしろい。「真理の探究‐これがわれわれの行動の目標でなければならない。これをおいては行動に値する目的はないのである。もっとも、人類の苦悩を軽減することこそまず第一に努力すべきだ、というべきなのかも知れない。それにしても、いったい、それはなんのためなのだろうか。苦しみに会わないように、というのは消極的な理想であって、この理想に達するのには、いっそ世界を絶滅させるに如くはない。そのほうが間違いがないというものである。」2012/03/06

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