出版社内容情報
全世界で十億を越える信徒を持つイスラム教.その正確な理解のために,イスラム教の誕生,信仰のありかた,儀礼的・法的規範を,歴史の流れの中で丁寧に解説し,様々な分派や,原理主義も含めた近現代にいたる展開も複眼的な視点で記述した,第一級の入門書.
内容説明
全世界で十億を越える信徒を持つイスラム教は、現代社会の動向にかかわって重要な宗教である。本書は、その正確な理解のために、イスラム教の誕生、信仰のありかた、儀礼的・法的規範を、歴史の流れの中でていねいに解説し、様々な分派や、原理主義を含めた近現代にいたる展開も複眼的な視点で記述した、本格的入門書。
目次
1 イスラム世界と日本
2 イスラム教の歴史
3 イスラム教の信仰
4 イスラム教の実践
5 イスラム教の分派
6 イスラム教の神秘主義
7 イスラム教の近代
著者等紹介
中村広治郎[ナカムラコウジロウ]
1936年福岡県に生まれる。1960年東京大学文学部卒業。現在、桜美林大学教授、東京大学名誉教授、Ph.D.。専攻はイスラム学、宗教学、中東地域研究
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ベンアル
15
図書館で借りた本。1998年に出版されている。入門と書いてありながら、超本格的で、イスラムの成り立ち、礼拝の仕方、各派の特徴、戦後から1990年のイスラム国家の流れなど多岐に渡る。とても難しかったが、礼拝のところは大変わかりやすかった。2022/09/12
Francis
14
20年前に読んだ本の再読。入門と言いつつ、歴史・教義・分派・神秘主義・近代イスラムなどかなり難しい内容を含んでおり、ムスリムの日常の信仰生活のことはあまり触れられていない。以前読んだ時に面白く感じたのはシーア派、イスマーイール派、ザイイド派などの分派だったが、今回も面白く感じた。しかしイスラムの政治的指導者のあり方を巡ってこんなに争いがあったとは・・・。キリスト教にも教派が色々あるけど、教派が成立した理由がかなり違うな、とはいちクリスチャンの私の感想。2019/11/07
しおり
11
にゅ、入門……?六信五行やヒジュラの経緯など多少なりとも予備知識があったところは読めたけどセクト別の教義の違いとかになるともう???だった。人名や用語に馴染みがないので実際以上に難しさを感じた。コーランはもちろんのこと法源としてハディース(伝承)、「我が共同体は誤ったことで一致することはない」としてイジュマーなども採用されるがこの範囲については宗派により異なる。9~11世紀あたりが最も複雑だった。民衆の拠り所がウンマから教団組織に移ったのは興味深い。スーフィズムの隆盛がイスラム界の建設的発展を鈍らせた?2020/12/30
isao_key
11
タイトルは入門となっているが、内容的には歴史、イスラム法、哲学、学派と対立、近代化など広範囲にわたってかなり詳しくまとめられている。イスラム教の神秘主義であるスーフィズムも取り上げられている。スーフィズムの修行は、人間が神に近づくための準備であり、その目標は「合一」体験である。具体的には入門者はさまざまな禁欲的苦行によって、欲望をコントロールし、神への接近を妨げる現世への執着を断ち切ろうとする。さらに不断のコーラン読誦、礼拝、瞑想、称名などによって常に神を思念し、神と共に生きるように努めることとある。2013/08/07
もよ
10
教科書的に詰め込んだものすごい情報量で、イスラム教の生い立ちから1980年代くらいまでの歴史を盛り込んだ内容で消化するのは厳しい。逆に、現在のイスラム教徒の習慣や「ハラル」といった面にはあまり触れていない。実用書ではなく、教養としての「イスラム教入門」。2015/05/20