内容説明
ヒトラー政権末期、ベルリン市民は大空襲のなかで壮絶な銃後の戦いに明け暮れていた。彼等とともに一日本人青年が死守しようとしたものは何だったのか…。留学生の空爆体験記。
目次
終わりの始まり
戦争は真夜中に起こる
純血戦争
戦場はドイツ国内だ
ヒットラーの計算
最後のクリスマス
ベルリン戦争
西に逃げる
死期迫ったベルリン
ベルリンは泣いた
捕虜になる
勝者と敗者
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たこ焼き
10
美しいベルリンはドイツが蹂躙したソ連によって破壊された。ユダヤ人や隣国人への傲慢さがやがて自国の破滅につながった。戦争やナチスに反対する人は多かったが、自分の生活のリスクを冒してまで実際に反対行動に移した人は少なかった。その結果ドイツの一般人の預かり知らぬところでナチスによる他国やユダヤ人、ジプシーへの蹂躙は続けられベルリンはその復讐による地獄絵図が繰り広げられた。ナチスの行きすぎた自国至上主義がシナゴーグ焼き討ちとして結実、その傲慢さによりドイツの破壊への道が運命つけられた。2024/01/08
印度 洋一郎
4
帝大出の舞踊家として知られる著者が、国費留学生として1936年から1945年まで、ドイツの首都ベルリンに滞在した間の手記に基づく内容。流石に国(しかもドイツの同盟国)を代表するエリートの立場なので、第二次大戦開戦はウィーンで舞踏会の最中に迎え、自家用車でドライブとなかなか呑気な日々。しかし、戦時下らしく、連日の空襲で防空壕に篭り、友人知人のユダヤ人達は消え、末期には崩壊していくベルリンを目の当たりにし、戦後はソ連軍による地獄絵図に直面。外交官でも軍人でもジャーナリストでもない視点で書かれていて、興味深い2016/06/01
ビタミン
0
★★★★☆2012/08/04
rato
0
戦時下ドイツの日本人留学生のはなし。
札幌近現代史研究所(者。自称)
0
戦時下の金持ち留学日本人が、ちょうどライヒスクリスタルナハト(1938年11月ポグロム)あたりからドイツに来て翌年の第二次世界大戦の勃発から終戦、そしてソ連への連行まで綴った回想録。毎日シャワーを浴びて当時の日本よりドイツの方が清潔ではないかと実感したり、戦時下、増えてきた外国人労働者に憮然としたり何度も繰り返される空襲に地下室への繰り返される避難など臨場感もあり、外交官や記者とは違った戦時下ドイツを生き抜いた日本人の貴重な回想録として必携と言える好著。