内容説明
全欧州に君臨した華やかな舞台から一転して、英雄ナポレオンは屈辱の幽囚生活のうちに悲壮な最期をとげる。―孤島セント・ヘレナで送った5年半にわたる晩年の実相に迫って、著者の「ナポレオン」シリーズを締めくくる一大ノンフィクション。
目次
序章 三つのプロット
第1章 降伏の相手
第2章 南海行
第3章 幽囚の身
第4章 時間の征服
第5章 茨の冠
第6章 崩壊の過程
第7章 夢のない眠り
終章 セーヌのほとり
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鐵太郎
7
ワーテルローに破れたナポレオンが、大西洋の孤島セント・ヘレナでその生涯を終えるまでの物語。英雄として多くの人々の心に残るナポレオンが、いかに人間的にはそばにいたくない人であったのか、しかしその上でいかに人を引きつける人物であったのかが面白い。面白いと言えば、イギリスは彼が死ぬまでボナパルト将軍あるいはブォナパルトとしか呼ばず、君主・皇帝としてナポレオンと呼んだことは公式には一度もなかったのだそうな。歴史小説はみんな間違いと言う事になりますな。(笑)2015/05/25
itosan04
1
夢破れてセントヘレナに送られた皇帝ナポレオン人生最後の日々。人生の浮き沈みを経験した人間は多いが、ナポレオンほど凄いジェットコースター人生も珍しいのではないか。それにしてもロウ総督、イギリスのセントヘレナ管理者の個性というか敵役として面白い存在だ。ラス・カーズの大著も日本語で読めるなら読んでみたくなった。2016/01/15
富士さん
1
ナポレオンがワーテルローに敗れて、死に至るまでの歴史的にあまり意味のない日常がそれまでの歴史の中心であった日常と同じぐらいの密度で描かれています。著者はこういう人のあまり興味を呼ばないところをとても興味深く書く才能がお有りのようで、その視点はいつも新鮮な発見をもたらしてくれます。単調な日常でも描き方によれば対象の本質をより見せてくれるということを知りました。また、どんな人でも単調な世界に閉じ込められればおかしくなる、といういい例だと思います。著者には天下りなんてしてないでもっと書いて欲しいですね。2013/04/15
鴨の入れ首
0
ワーテルロー会戦で敗れたナポレオンのセントヘレナ配流以後を描いたノンフィクションです。プライドが高かったであろうナポレオンにとって、孤島での幽閉生活は本当に辛く孤独で、心身ともに蝕まれていったのだなぁと思いました。平易な文章で読みやすかったですが、読後感はかなり重かったです。2024/04/14