内容説明
自動販売機の歴史は意外に古く、そのルーツは古代エジプトにまでさかのぼる。その後、一九世紀のイギリス、二〇世紀前半のアメリカで発展。日本にはすでに明治時代からあったが（日本人による第一号は１８８８年）、あまねく普及するのは二〇世紀後半のことである。今日の日本では全国津々浦々に普及し、その数は五五〇万台を超え、年間売上金額は七兆円に上る。世界一の「自動販売機大国」なのである。自動販売機はなぜ日本で発達したのか。自動販売機が人間や社会に与えた影響は何か。自動販売機の歴史と文化を豊富な図版を使って述べる。
目次
序章 「自動販売機」の見える風景
第１章 自動販売機二〇〇〇年の歩み―古代エジプトから二〇世紀アメリカまで
第２章 自動販売機大国への道―明治初期から今日まで
第３章 国が違えば事情も変わる―各国の自動販売機事情
第４章 日米に流行る理由、欧州に流行らぬ理由
第５章 文明の利器か、文化の破壊者か
著者等紹介
鷲巣力［ワシズツトム］
１９４４年東京都生まれ。東京大学法学部卒業、東京大学新聞研究所中退。６９年平凡社に入社し、書籍・事典・雑誌の編集に携わる。「太陽」編集長、８５年より取締役を務め、９２年退社。その後、雄鶏社取締役編集局長、スポーツニッポン新聞社専門委員をはじめ、東京大学新聞研究所、明治学院大学、跡見学園女子大学の非常勤講師や川崎市民セミナー講師としても活躍
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感想・レビュー
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遊々亭おさる
13
都市部から農村まで、日本全国津々浦々を網羅する文明の利器、自動販売機の歴史とその功罪について纏められた一冊。世界最古の自販機の出現は古代エジプトまで遡るという。翻って日本では明治時代に上野公園に設置された自動体重測定器が最古だとか。当時から健康志向の人の需要があったのか？全体的に深くは掘り下げていないがトリビア的に読むには面白いかと。横並び社会の日本が自販機大国となり、階層社会のイギリスが自販機後進国になるに至った考察にはなるほどねと。その有り様に賛否はあるが、災害時に命綱になることだけは確かなようです。2016/02/29
行
9
確かに、階級によって嗜好品の違うヨーロッパでは、自販機は流行らないでしょう。日本は他人と同じことを求めるし、階級による嗜好品の境がないから、自販機がここまで広まっているんだな。そういう国民性や社会性が自販機を通して見えるとは、面白い。2013/05/20
kubottar
8
自販機の数が多すぎることが最近指摘されているので読んでみた。自販機台数世界一はアメリカだが、国民一人あたりの台数で計算すると日本がダントツの一位。なぜ日本は路上のあちらこちらに自販機が設置されてるのか、それを歴史、民族性で検証しています。個人的には最近自販機でジュース買ってないなあ～、２４時間スーパーで安いジュースを箱買いするほうがいいか、今ではAmazon通販も安い。ただ、震災時には自販機のジュースを停電でも開けられるよう工夫されているのには感心した。有事の際の命綱になるかもしれない。2011/04/26
はの
7
一般的な人同様僕も自動販売機についての知識はゼロで、内容が全く想像できないので手に取ってみた。これを読んだおかげで、200人くらいの中なら自動販売機について一番詳しくなった自信がある笑。歴史の面では、紀元前古代エジプトで最古の自動販売機があったらしい（少なくとも考えた人はいた）ことや、『コモン・センス』で有名なトマス・ペインの著書が販売禁止になった時に、売り手を特定できずに罰せられないだろうという思惑で自動販売機で本を売ったという話などが特に面白かった。2015/01/12
さまい
6
2003年出版の古い本のため掲載されているデータは現代と差異があるとは思うが、日本とアメリカ以外では自販機があまり普及していないというのは意外だった。海外では見受けられない５００円のような高額硬貨が、日本では自販機で使いやすいように新造されたのも日本人が自販機文化を受け入れている証左だろう。もっと新しいデータを参照した本も読みたいが、意外と自販機に関連する本は少ないのが残念だ。2021/07/10
