感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タロウ
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自分が他人の顔と違うということは分り切った話であり、画家はそんなことを描こうとして自画像を描くのではない。この他人との違いは何なのだろうと考え、悩んでいる内的なものがある。それを意識することが個性であり、その個性を掴まなければ肖像画は描けないのであろう。歴史や教義、意味の要請から離れ、例えば人物という意味から離れて、目に見えたものを描こうという近代絵画の反動の運動は、初め自然に向かったが、再び自画像に帰った(例えばセザンヌ)。そこで描かれた自画像は、自然としての自分を描いたのか、それとも個性を描いたのか。2021/09/12