内容説明
様々な文化を背景に持つ生徒が通うアメリカの学校教育は、アイデンティティー形成を土台にして、文化の相互理解、言語教育、教科指導の三階建となっている。日本と異なる学校文化のなかで、子どもたちの学力はどのように発達するのか。岩倉使節団の一員として渡米、留学して十一年を過ごした津田梅子、山川捨松らの人生を鏡に、発想の相違、バイリンガルとセミリンガルなどの問題に直面しつつ育つ子どもたちの人間形成を映し出す。
目次
第1章 明治の女子留学生と現代
第2章 バイリンガルへの期待と現実
第3章 ESL教育と子どもの学力
第4章 いろいろなアイデンティティー
第5章 アメリカの学校文化の中で
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
327
1872年、岩倉具視率いる遣外使節団とともに渡米した5人は、まさに帰国子女の嚆矢であった。驚くのは山川捨松にしてさえ11歳。津田梅子にいたってはわずか7歳だった。この2人がいなければ、現在の津田塾はなかった。彼女たちの悲愴なまでの決意と、並外れた努力には敬服するばかり。さて、現代の在外子女たちだが、彼らもまた人知れぬ苦労を背負っているようだ。バイリンガルとはいっても、日本語ほどに抽象思考を操れる英語力を獲得するには、これまた並大抵ではない努力が要求されるようだ。それで帰国後に活躍の場があればいいのだが。2018/06/21
のんき
1
アメリカに行けば英語が身に付く、なんて甘いものではない事がよく説明されている。星条旗に関わるエピソードが不気味だった。2009/06/09