内容説明
長州藩の兵学師範をつとめ、松下村塾を主宰して維新の俊傑たちを育てた吉田松陰は、安政の大獄を断行する幕府から政道批判を咎められ死罪となった。その思想的影響は没後も衰えることはなく、三十年の短い生涯にかかわらず、公刊された評伝は膨大な数にのぼる。「革命家」「憂国忠君の士」「理想の教育者」など、時代の状況によって描かれ方が目まぐるしく変化したのはなぜか。維新に先駆けた思想家の人物像を再構築する試み。
目次
第1章 「革命家」松陰像の浮き沈み―明治期の松陰像
第2章 「国体」と「民主主義」のはざまで―大正期の松陰像
第3章 教育者松陰像から「松陰主義」へ―昭和期の松陰像(一)敗戦まで
第4章 復権、そして多彩なアプローチ―昭和期の松陰像(二)敗戦以後
第5章 人間・吉田松陰
著者等紹介
田中彰[タナカアキラ]
1928年(昭和3年)、山口県に生まれる。1953年、東京教育大学文学部史学科卒業。1959年、同大学院博士課程修了。1964年、学位取得。北海道大学名誉教授。現在、札幌学院大学教授。専攻、日本近代史(明治維新史)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。