内容説明
四億年の歴史をもつ昆虫類は、環境へ巧みに適応し、姿形や生活様式をさまざまに進化させてきた。一見不可解なふるまいにも、生き残りをかけた驚くべき知恵が隠されている。殺虫剤を強壮薬にするゴミムシダマシ、光の輪をつくって卵を守るイリオモテボタル、植物の種を蒔くクロヤマアリ、大雪を予知するオオカマキリなど、最新の知見を交えながら虫たちの行動の謎に迫る。昆虫の世界への興味をかきたてる二四話。
目次
第1章 あの手この手の生き残り戦略(巨大な蚊柱をつくって子孫を残すオオユスリカ;殺虫剤を強壮薬にするゴミムシダマシ ほか)
第2章 愛のことば、愛のかたち(幼虫の姿で抱卵し、発光するイリオモテボタル;ストロボ光を放って会話するヒメボタル ほか)
第3章 虫と植物は持ちつ持たれつ(種蒔きをするクロヤマアリ;防腐剤で卵を守るヤマトシロアリ ほか)
第4章 奇妙な行動の裏に隠された秘密(花に騙されてただ働きをするニホンミツバチ;謎の植物成分を護身に使うミカンコミバエ ほか)
著者等紹介
安富和男[ヤストミカズオ]
1924年(大正13年)、北九州市小倉に生まれる。九州大学農学部卒業。同大学院修了。農学博士。専攻、昆虫学、国立予防衛生研究所に勤務し、衛生昆虫部室長を務める。殺虫剤抵抗性に関する研究で日本衛生動物学会賞受賞。日本昆虫学会名誉会員、元会長。日本衛生動物学会名誉会員。日本家屋害虫学会常任理事
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感想・レビュー
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中島直人
2
(図書館)身近な虫が多く取り上げられていて、興味深く読めた。読みやすくて面白い。2020/11/20
Koji
2
知らない世界を知ることも楽しくなってきた。2015/01/31
Hideki Ando
1
多様性の重要性について。さまざまな種類が居るということは生き残る可能性が広がるということ2010/09/25
アカハライモリ
0
内容はまぁタイトル通り。生理的な分野にまでは踏み込んでいないため専門用語も少なく、比較的読みやすかった。最も興味深かったのはシマメイガコマユバチの寄生方法について。寄生主を蛹にさせないためにホルモン分泌して成長を阻害させたり、既に寄生主に他の個体が産卵していた場合は殺卵処理をするそうなのだ。しかも、その殺卵処理は産卵経験個体より産卵未経験個体の方が傾向としては強いとか。2016/01/05
nana252
0
色んな虫たちの知られていない生存戦略について紹介されており、その巧妙さに驚くばかりだった。自然選択によって強化された特性だとしても、ファンタスティックで神秘的。2015/03/01