出版社内容情報
家族をめぐり続発する“問題”――育児不安,晩婚・少子化,変化する夫婦関係,家族内のジェンダー問題――.いま日本の家族を生きるとはどういうことか.<近代家族の終焉>が言われる現代の家族に,文化心理学,進化心理学などの手法を総合してせまる.
内容説明
いま激動する社会に最適なかたちを模索して試行錯誤する日本の家族。進化心理学、文化心理学など新たな視点をも統合した、新しい家族心理学。
目次
第1部 家族とその起源・進化・発達(家族とは?;家族の起源・進化・発達)
第2部 家族の諸相(結婚への態度と行動;恋愛と配偶者選択;結婚生活と夫婦関係;親子の関係)
著者等紹介
柏木恵子[カシワギケイコ]
1932年千葉県に生まれる。1955年東京女子大学文理学部心理学科卒業。1960年東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。教育学博士。専攻、発達心理学。現在、文京学院大学人間学部教授。東京女子大学名誉教授
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感想・レビュー
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katoyann
22
家族をクローズド・システムとしてその個人的かつ関係的要因に問題を見出してきた家族(臨床)心理学の主流派に異論をぶつけた異色の研究書である。家族を閉じた関係として捉えると、家族を取り囲む社会環境の変化を等閑視することになるという。マクロな変化は医療の進歩による少産少死という人口変動である。少なく産んで愛情を注ぐという価値観は社会の変化の産物だ。ただ固定的な性別分業は母親にのみ育児責任を問う。それが育児不安のもととなり、虐待や子どもの私物化に発展していく。問題克服のために家族を社会に開くべしとする。大著。2022/02/17
寿々喜節句
1
現代の家族構成における問題をついた一冊。いかんせんデータが古いのが難。是非改訂版を出してもらいたい。2024/01/28
Minori Hiroishi
1
家族をジェンダーからの視点で学ぶにあたり、この本は基本的な理解を得るために大変役に立った。近代家族においてもはや型にはまった定義は存在せず、我々が抱く家族の概念は多様化している。一方でいまだ良妻賢母というイデオロギーの束縛に悩む現代の女性たちも多く、そのことをこの本でも多くのデータがわかりやすい図表とともに示しされている。私自身、専業主婦として3人の子育てをしながら感じてきた鬱屈したもろもろの思いを、本をよむことで心理学の視点から客観的に振り返ることができた。事あるごとに読みなおしたい一冊である。2014/04/12
ripurou
1
夫婦・親子関係がメインの家族についての本でした。2013/04/03
入江
0
面白い視点がある。「そもそも子育てとは、母親が自己資源を子に投資する『親性投資』であり、母親による子への反発・攻撃はその投資の断ち切りである」2012/02/23