Springer reviews
線虫―究極のモデル生物

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B5判/ページ数 182p/高さ 26cm
  • 商品コード 9784431710295
  • NDC分類 483.7
  • Cコード C3045

出版社内容情報

《内容》 2002年のノーベル医学生理学賞は,「器官発生とプログラム細胞死の遺伝的制御」に関して,Sydney Brenner,Robert Horvitz,John Sulstonの三氏に贈られた.これは,線虫C. elegans をモデル動物として確立したことが評価されたものだといえよう.
ヒトの全細胞数は約60兆個などといわれるが,線虫はその細胞数が約千個ときわめて少数であり,全細胞が一意に同定されること,その細胞系譜が完全に記述可能であるということを意味している.線虫のもうひとつの特徴は,遺伝学的手法がきわめて使いやすいような遺伝様式をもつという点である.さらに,連続切片を用いた電子顕微鏡観察により体の全構造が調べつくされている.このような特徴を兼ね備えた実験系はほかにはなく,その意味で,本書の書名において線虫を「究極のモデル生物」と称した.
線虫研究が始まって最初の30年のあいだに,線虫を用いて基本的な生命現象に関する多くの重要な発見がなされ,現在では,全世界の多くの研究者が線虫を用いて最先端の研究を進める状況となっている.本書は,わが国の第一線の線虫研究者の多くに執筆を依頼して,このような線虫の実験系としての魅力,その研究から得られた最新の知見を簡潔にまとめた.線虫の専門家はもとより,これから線虫を用いた研究をはじめようとしている人への案内ともなるように配慮して編集している.線虫研究のすべてをつくすことはもとより不可能であったが,さわりの部分はかなり網羅しつくされたものと自負している.
線虫研究のすべてをわかりやすく解説する待望のレビュー集.線虫研究者だけでなく,ライフサイエンスの研究者はみな必読.    

《目次》
I.モデル生物としての線虫C. elegans
  1.線虫研究の創始者たちとその研究
  2.線虫の生活環と遺伝システム
II.発生のメカニズム
  1.初期胚における極性と細胞運命の決定
  2.幼虫期に起こる細胞分化と器官形成
  3.プログラム細胞死
  4.発生過程で起こる細胞移動 5.特殊化された生殖細胞の形成 6.体の大きさと形の制御
III.行動のメカニズム
  1.シナプス伝達
  2.感覚刺激の受容とそれに対する応答
  3.線虫の行動可塑性
  4.筋肉の構造形成と機能制御
IV.総合的生命機能
  1.ゲノムからみた線虫
  2.RNAによる遺伝子の発現抑制:RNAi
  3.環境に対する適応応答:耐性幼虫形成
  4.寿命決定と老化

内容説明

線虫は今日まで、基本的な生命現象の多くを解き明かしてきた。酵母ではできないこと、マウスではできないことが線虫では可能だ。シグナル伝達、アポトーシスから、発生・分化、神経機能研究まで、線虫研究のすべてをまとめた待望のレビュー集。

目次

1 モデル生物としての線虫C.elegans(線虫研究の創始者たちとその研究;線虫の生活環と遺伝システム)
2 発生のメカニズム(初期胚における極性と細胞運命の決定;幼虫期に起こる細胞分化と器官形成 ほか)
3 行動のメカニズム(シナプス伝達;感覚刺激の受容とそれに対する応答 ほか)
4 総合的生命機能(ゲノムからみた線虫;RNAによる遺伝子の発現抑制:RNAi ほか)

著者等紹介

飯野雄一[イイノユウイチ]
東京大学遺伝子実験施設

石井直明[イシイナオアキ]
東海大学医学部
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。