内容説明
古代歌謡に始まる歌は、万葉集において詩精神と様式を確立させる。そして、王朝びとのみやびの世界を現出させ、やがて、江戸の俳句へと受け継がれていく。―この巻は、日本の詩の心と美意識を明らかにする。
目次
歌謡の起源と本質(土橋寛)
和歌の表現―古代和歌における集団と個(鈴木日出男)
俳諧の方法(乾裕幸)
万葉集の〈構造〉(身崎寿)
柿本人麻呂―吉野讃歌の意義(岩下武彦)
和歌的抒情と漢詩世界―「長恨歌」について(中西進)
古今的なるもの(小町谷照彦)
私家集の位置(後藤祥子)
和泉式部(藤岡忠美)
王朝の漢詩(後藤昭雄)
新古今集の美意義―大内花見の歌三首を軸にして(久保田淳)
連歌の成立と展開(藤原正義)
国学と和歌(藤平春男)
西行と芭蕉(伊藤博之)
蕪村―「我」の示すもの(山下一海)