内容説明
曹操は風采の上がらぬ小男だったが、劉備は堂々たる偉丈夫で、人を心服させる不思議な魅力を持っていた。曹操を知の人とするなら、劉備は心の人であったろう。関羽と張飛が死を賭して献身し、諸葛亮が主の死後にも誠実無比の忠節を尽しつづけたのは、そのためであった。「蜀書」全十五巻には、蜀の遺臣陳寿の亡国に対する思い入れと、諸葛亮への深い敬愛がこめられている。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Y2K☮
45
蜀が好き。劉備亡き後は駒不足? 孔明没後は退屈? 然に非ず。小説ではあまり活躍しなくても一芸に秀でたユニークで憎めない奴らが圧倒的不利な状況で踏ん張っている。実際孔明が斃れた後も国は29年続いた(宿敵である魏の滅亡はその2年後)。銀英伝の「伊達と酔狂に命を懸ける」自由惑星同盟の原型か。彼らの熱が魏の後継国・晋に仕える著者に蜀こそ正当と匂わせる筆を促し、後に劉備が主役の三国志演義が創られる端緒となった。歴史は勝者が記すもの。でも一途に戦った敗者の生き様が時代を超えて愛される最高の小説を生んだのも事実なのだ。2016/09/23
優希
42
蜀編になります。劉備はじめ、馴染みの軍師たちが登場します。小説の三国志のベースはここにあるのではないでしょうか。2023/01/03
たぬ
30
☆3.5 魏が4冊続いて(若干拷問)やっと蜀。劉備って妻子ほったらかしですたこら逃げたイメージが強いのだけど家臣たちの伝のあちこちに情に厚く涙もろいエピソードが入っていて、読み進めるうちにああこれは間違いなく人たらしだ、戦に強いわけじゃなくてもこんな人が上司ならついていきたくもなるなと。劉禅は無能だけど性格は悪くなさそう。2022/08/14
y yoshi (イツモ ホンヲ ハナシマセンデシタ)
7
やった!知っている名前のオンパレードだ。ちなみに僕は関羽・張飛より馬超や趙雲のほうが好きです。2019/08/22
ton
7
蜀の規模を改めて思い知らされる蜀書一冊!小国故に活躍の場に恵まれる一方、個々の負担も大きい。それでも主君が打てば響く内は良いが、劉禅時代後半の、内の黄皓、外の姜維の大暴走あたりからは悲惨。諸葛亮は正史でも圧倒的人材不足による過労死、賛否両論渦巻く姜維だが、蜀の為と最後まで奮闘した心意気には胸を打つ。てなわけで感情的に言えば、あっさり降伏の劉禅アホー!である。しかし暗愚と言われるが暴君ではなかった。臣下に全てを委ね流れに身を任せたのは、自身の能力と立場を悟った上での道化とも思えなくはないが…うーん。難しい。2016/07/29