内容説明
日本天台宗の開祖・最澄の伝記は、まだ学界で論争中のことも多く、一定するに至ってはいない。本書は、それらの諸説を掲げて著者の見解を示し、最澄の全体像の把握に迫る。特に根幹となる思想については、その形成と内容を述べて、行動との関連性を考え、主要著作を解明し、国家に対する仏教の自立をめざした教団づくりの意図と努力を概観した。
目次
第1 生誕と出家
第2 比叡山での学問・修行
第3 高雄山寺での講経
第4 唐への留学
第5 天台宗の公認
第6 空海との関係
第7 九州・東国歴訪
第8 徳一との論争
第9 天台僧養成制度設立の運動
第10 最澄滅後の教団
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
moonanddai
8
空海とくれば最澄。本書は思想的なところに深く立ち入るというよりは、最澄の歩み、生い立ちから遣唐使、徳一との論争、そして南都仏教との争いみたいなものについて、文献、論説等々に基づいて論点等を整理していったもの。ただ、天台宗「立ち上げ」に当たって、このように「大乗」といったものに固執したということが分かりました。(自派を守るといった側面も見逃せませんが…。)ただ、空海が嵯峨天皇との関係が濃厚だったように、最澄も桓武天皇との関係を重視したことがうかがわれます。2021/08/03
多読多量連投が日課だった
1
高僧だったから遣唐使に行った坊さん。それで空海に遅れをとったとか。知名度が空海に負け残念ね。2017/05/30