出版社内容情報
2001年9月9日「読売新聞」読書欄にて紹介。評者は高橋克彦氏(作家)
「私もかつて『北斎指殺人事件』と題して北斎の謎に正面から取り組んだことがある。…小説の中では答えを出したものの、北斎への興味はいまだに薄れない。/しかしこの世には複雑な迷路でも易々と潜り抜ける天分を持った人がいる。この本を読むと謎が謎でなくなっていく。…数多い転居や改号も北斎にとっては必然だったと説く本なのだが、確かに北斎の中心に道教を据えれば、覆っていた靄が綺麗に取り払われていくのだ。北斎について道教の影響を示唆する先達は何人か存在したが、ここまで踏み込み、証明に成功したのは本書が初めてと言っていい。/図版も少なく、地味な印象を受けるが、北斎研究に新たな地平を切り開くものだ。」
内容説明
葛飾北斎は、日蓮宗や妙見菩薩、老荘思想など、複雑な信仰の持ち主だが、数多くの転居や画号の由来から、ある貫徹した信念にたどり着く。生き方と信仰をめぐる6つの謎を解き、北斎芸術の本質をさぐる旅へいざなう。
目次
北斎の生涯をたどる
画号に北斎の信仰と思想が見える
北斎の生き方と老荘思想
北斎晩年の傑作小布施の天井絵
朝鮮・日本の道教受容
著者等紹介
諏訪春雄[スワハルオ]
1934年、新潟県に生まれる。1961年、東京大学大学院博士課程修了。現在、学習院大学文学部教授
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