内容説明
公共政策のもつ「所得の再分配」という側面に着目し、民主主義社会における統治者と有権者の間の権力の作用や価値判断の問題を明示的に扱った政治経済学的分析を行う。医療をはじめ社会保障の経済研究に新たな視点で切り込む。
目次
1 分析視覚と理論(再分配政策形成における利益集団と未組織有権者の役割―再分配政策の政治経済学序論;制度派経済学としての医療経済学―ガルブレイスの依存効果と医師誘発需要理論の類似性;社会保障と経済政策―平等イデオロギー形成の事実解明的分析)
2 事実確認と問題設定(日本における少子・高齢社会危機論への疑問―社会保障研究の問題設定と価値判断について;再分配政策としての医療政策―医療費と所得、そして高齢化)
3 モデル構築と政策分析(社会保障の財政選択と政府の政治戦略―目的税・普通税の間の財政選択をめぐって;日本の医療供給政策と「看護婦不足」論議―医療保障政策の政治経済学;平均医療費の経済分析―医療保障政策指向モデル)
感想・レビュー
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hurosinki
3
20年程前の論文を纏めたもの。大体が権丈氏の『ちょっと気になる』シリーズで読んだことのあるトピックでそんなに新鮮味がない(というかこのシリーズが『ちょっと気になる』の元ネタ)。数式がそこかしこに出てきて混乱したので、今度同期の経済畑の友人に教えてもらおうと思います…。 「政策は、所詮、力が作るのであって正しさが作るのではない」というフレーズで端的に表現されるように、著者は取るべき政策の正しさだけでなく、そうした政策が形成される過程、中でも各アクターの権力の相互作用にも着目している。2021/09/03
こずえ
0
経済学部生が読むといんじゃないかなーって感じのコンパクトさでした2018/05/22