内容説明
本書は、「雑草とは何か?」を自由に考える研究会(雑草学会小集会)の討論課題を補強するかたちで、雑草にかかわる歴史、分類、適応、進化、生活の仕組みといった課題を収録したものである。いずれも専門的な解析に加え、人間の生活とかかわる植物である雑草のたくましい性格を考察している。「雑草」に対する執筆者ごとの解釈の違いは、雑草の認識が、どのように多様であるかを示している。本書では特に雑草に関する歴史や生物学的な特性を人間の文化や生活とのかかわりを踏まえて解説することにつとめている。また、できるだけ広い視点から雑草の種類を含めるようにしている。
目次
第1部 雑草フロラの成立(日本の雑草の起源と多様化;雑草フロラをつくりあげる帰化植物 ほか)
第2部 適応力を解明する(桑畑におけるパラコート抵抗性雑草の分布拡大;タイヌビエの種子休眠と発芽生理 ほか)
第3部 生活史戦略をさぐる(攪乱と競争へのナズナの適応;チガヤの生活史特性の分化 ほか)