岩波文庫
迷宮としての世界―マニエリスム美術〈上〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 445p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003357514
  • NDC分類 702.05
  • Cコード C0171

出版社内容情報

ルネサンスは自然の理想化的実現に至ったが、ミケランジェロには調和的な古典主義と異なる表現が現われていた。主観的な精神の想像力に価値をおくマニエリスムは、世界を迷宮としても表現する。膨大な例証による詳説。(全2冊)

内容説明

ルネッサンスは自然の理想化的表現に至ったが、ミケランジェロにはすでに調和的な古典主義と異なる表現が現われていた。主観にもとづく精神の創造力に価値をおくマニエリスムは世界を迷宮としても表現し、二十世紀復権する。膨大な例証による詳説。

目次

序―ヨーロッパ芸術におけるマニエリスム
最初の衝撃
優美と秘密
蛇状曲線的‐痙攣的
“イデア”と魔術的自然
綺想異風派
没落のヴィジョン
美と恐怖
不安と好奇
天使城
人口の眼としての時計
人工の自然
奇妙な神話
迷宮(ラビリンス)としての世界
抽象的隠喩法
キュービズムの先達と後裔
イメージ機械
古今の構成主義
円と楕円

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

128
マニエリスムという言葉が今まであまり聞いたことがなかったのですが、迷宮としての世界という題名に惹かれて読んでみました。やはり内容は私にとってはかなり難しく、哲学的な感じもある美学の本のような感じを受けました。ただこの中に収められている絵画などが興味深くこのようなものについて研究するのかと思いました。2016/10/13

内島菫

23
こどもの頃だけでなく大人になってからもマンガ(単に絵でもいいかもしれない)を描き続けた人ならたぶんすぐにわかると思うが、マンガはすべてマニエリスムであると、本書を読むと考えざるを得ない。なぜならマンガは、一見典型的な記号性に頼りながらも、そこからはみ出ようとする主観性、フォルムの歪み、手の動き(歪み)を如実に反映する描線、先行する作品を気にする姿勢によって成り立っているからだ。また、奇しくもマンガもマニエリスムの傾向と同様に、こども向けのまるっこい円を基本とした人物のフォルムから、2022/09/07

白義

13
マニエリスムをルネサンス後の一様式から、普遍的な精神史の常数として位置付け、現代美術とも共通するそのモチーフを流れるがまま、さ迷うがまま論じた、これ自体が迷宮と言える驚異の書物。バロックも、ロマン派も、キュビスムやシュールレアリスムもまた精神の危機に対応し主観へと潜行するマニエリスムから生まれしものであり、事実16世紀というマニエリスムの全盛時代にあって、逆説的な奇想、抽象絵画、魔術的寓意といった題がすでに存在していたという。豊富な図版がそれを傍証していて、思考と視覚が揺さぶられる2013/03/15

NICK

10
マニエリスムを「ヨーロッパ精神の常数」とするその意図からわかるように射程は非常に広い。16世紀後期ルネッサンスから1950年シュルレアリスムを行ったり来たりし、語るモチーフも気の向くままというその叙述の方法はまさにその射程の広さ、また「驚異」を重んずるマニエリスムの精神そのものを表しているのではないだろうか。マニエリスムが世界を異貌として、迷宮として、驚異として描く手法であるならば、16世紀と20世紀を容易に接続してしまうこの書はまさに異貌としての美術世界を紹介するそれ自体マニエリスム的なものなのだ2015/06/15

ラウリスタ~

8
マニエリスム美術なるものに関する書。解説書ではないし、エッセイにしては晦渋すぎるし・・・変な美術であるマニエリスムを変に紹介し続ける変な本。大体、翻訳が難しすぎる「暴く」を「発く」と書いたり、「比喩」を「譬喩」って書いたり、「劫掠」(ごうりゃく)とか・・・みんなこれ読めるの?あえて簡単な訳語を執拗に避け続けるその意図はどこにあるのか。内容は、レオナルド、ミケランジェロからピカソあたりまで多種多様。彼らを、マニエリスムという観点で見てみると・・・といった内容か?難しい2011/03/17

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