出版社内容情報
一八二一年に公刊されたヘーゲルの主著の一つ。下巻は、家族から出発する「第三部 人倫」を収録する。放埓と退廃がはびこる欲求の体系としての市民社会、その動的展開の揚棄を介して、人倫的理念の現実性としての国家のあり方へと進む。ここに描出される近代の自画像には、現代にも通じる洞見が含まれている。(全二冊)
内容説明
1821年に公刊されたヘーゲルの主著の一つ。下巻は、家族から出発する「第三部人倫」を収録する。放埒と退廃がはびこる欲求の体系としての市民社会、その動的展開の揚棄を介して、人倫的理念の現実性としての国家のあり方へと進む。ここに描出される近代の自画像には、現代にも通じる洞見が含まれている。(全2冊)。
目次
第3部 人倫(家族;市民社会;国家)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鏡裕之
4
モンテスキュー『法の精神』が三権分立を説いたように、本書(第3部)は家族、市民社会、そして国家を扱っている。ヘーゲルは三権分立に対して「独立と言いながら、三者が牽制しているから独立ではない」と突っ込みを入れたりしていて、「君主権」「統治権」「立法権」という三権を唱えている。上巻で奴隷について記したことが、今のブラック企業の社畜に通用するという看破ぶりを見せたヘーゲルだが、下巻でも、貧困問題は今日の社会を動かし苦しめている重大な問題だと鋭い指摘を見せている。下巻でも最初に解説を読んでから本文に挑もう。2021/05/03
逆丸カツハ
2
世界史を精神の諸契機の必然的展開とするヘーゲルの歴史観は、事後的に成立するものを事前、未来に向かって読み替えているように思える。精神の自己発現として歴史を見ているように。これに対立するのは自然選択の考え方ではないかと思う。ただ周囲と環境との関係性によって偶然に選択されたものが生き残るという考え方。実際のところ、人の歴史をどちらかに還元することは出来ないだろうけれど。成立した事後的なものを分析しているのだろうが、すごい洞察だと思う。その先の世界が有りうるのかはしれないが、やはり自分は永遠平和を考えたい。2023/09/26