出版社内容情報
驚くべき事にドイツでは今日でも、真剣を用いた決闘が学生の間で行われている。ドイツ留学時学生結社に誘われ、そこで決闘を経験した著者。ゲルマンエリートを作り出す決闘文化の実態を本邦初公開。
内容説明
驚くべきことにドイツの学生結社では今日でも、鋭い真剣を用いた決闘が一部の学生の間で普通に行われている。一九八〇年代初頭にドイツ留学した著者はふとしたことから学生結社に誘われ、そこで決闘を経験する。本書は、武士道にも通じるゲルマン騎士の「高貴なる野蛮さ」を具現する決闘文化に迫るドキュメントである。
目次
第1章 ドイツの決闘(学生の決闘「メンズーア」とは;顔と頭の刀傷=シュミス ほか)
第2章 決闘の掟(「男」になるための試練;騎士道精神 ほか)
第3章 学生結社の日常(学生結社はどのような組織になっているのか;処罰規定 ほか)
第4章 伝承と継承―高貴なる野蛮(国民団(ナツィオーン)とは何か
新入生いじめの儀式と学生同郷人会ランツマンシャフト ほか)
著者等紹介
菅野瑞治也[スガノミチナリ]
富山県生まれ。京都外国語大学教授。文学博士。専門はドイツ文化史、ドイツ文学。ドイツのマンハイム大学留学中に学生結社「コーア・レノ・ニカーリア」の正会員となり、現在はOB会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
291
世の中にはこんな事をする風習が残っている事に驚く。ドイツの騎士道というものを感じた。2018/01/19
harass
48
図書館で暇つぶしに物色していて手に取った本。80年台ドイツに留学中の著者は現地の学生結社の集会に參加した。その結社は決闘が入会の条件だった…… 著者の体験談や学生結社の簡単な歴史や組織について語る。防具や細かい作法で致命傷は負わないようになっているが、真剣をつかってのこの決闘は合法なのだという。勝負よりも勇気を試す意味合いがあり、受けのときは相手の攻撃は剣で受けるしかなく、体を避けたりそらしたりすると負けになるのだという。ドイツ騎士団からの伝統の誇りにクラクラする。今でも決闘は続けられているという。2016/08/10
ニゴディー
12
著者がテレビ番組に出演していたのを観て興味を持った。 決闘といっても安全にもある程度(ケガをしないわけではない)考慮されているので伝統を引き継いだスポーツといった印象はある。 しかし理解に苦しむ伝統であり、個人的には肯定できる要素は全くないかな。 飛躍しすぎかも知れないけれど、平気でこんなことをできるならその延長として暴力やその先に戦争に繋がっても不思議ではないかなと思ったり。 通常では知ることのできない内容は興味深く、よくまとまっているので資料的価値は感じた。2020/10/31
ペペロニ
12
ドイツには今も学生結社の会員による決闘文化が残っている。歴々のドイツ出身著名人も名を連ねている人が多いらしい。学生結社は文武両道のエリートたる男を養成する機関で、会員同士の絆は年齢、肩書き、出生を問わず固いもの。学生結社のルーツを探ると騎士道にたどり着く。受け継がれているものは「高貴なる野蛮」だという。素晴らしい文化だと思う。2019/12/13
lop
12
決闘という文化が残っていて、実際に行った日本人の話。 決闘と言ってもルールも厳格で、避けたりがなく、相手を倒すというよりメンタル面を試す儀式な感じでした。 すごく興味深かったです。2019/07/15