ちくま新書<br> 日本人はなぜ「さようなら」と別れるのか

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ちくま新書
日本人はなぜ「さようなら」と別れるのか

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  • サイズ 新書判/ページ数 219p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480064677
  • NDC分類 121.04
  • Cコード C0295

内容説明

一般に世界の別れ言葉は、「神の身許によくあれかし」(Goodbye)か、「また会いましょう」(See you again)か、「お元気で」(Farewell)のどれかである。なぜ、日本人は「さようなら」と言って別れるのだろうか。語源である接続詞「さらば(そうであるならば)」にまで遡り、また「そうならなければならないならば」という解釈もあわせて検証しながら、別れ言葉「さようなら」にこめてきた日本人の別れの精神史を探究する。

目次

第1章 「さらば」「さようなら」という言葉の歴史
第2章 死の臨床と死生観
第3章 日本人の死生観における「今日」の生と「明日」の死
第4章 「いまは」の思想
第5章 不可避としての「さようなら」―「そうならなければならないならば」
第6章 「さようなら」と「あきらめ」と「かなしみ」
第7章 出会いと別れの形而上学
第8章 「さようなら」としての死

著者等紹介

竹内整一[タケウチセイイチ]
1946年長野県生まれ。東京大学文学部倫理学科卒業、同大学院人文科学研究科博士課程中退。現在、東京大学教授(大学院人文社会系研究科・文学部)。専門は倫理学・日本思想史。日本人の精神の歴史を辿りなおしながら、それが現在に生きるわれわれに、どのように繋がっているのかを探求している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

モリータ

13
普段あまり手に取らない類のタイトルの本だが、田中英光の「さようなら」を読んだ直後で、井伏鱒二の「さよならだけが人生だ」のことも気になっていた(そして、それらのことが後半~あとがきにかけて言及があった)ので、1時間ほどでざっと読み。「おのずから」「みずから」の論はちょっとよくわからないところもあったが。2016/07/18

ぽっか

9
「さようなら」は世界でも珍しい別れの言葉らしい。別れの痛みを再会の希望によって紛らわしたりしないで、どうにもならないという諦めの気持ちを端的に言い表す。それは一見、運命に対してなすすべもないという究極のニヒリズムに思えるかもしれない。だけど実は、これまでのできごとを自分なりに総括し、満ち足りた気持ちで区切りをつけ明日へと向かうという主体的な意味合いも込められているという。それが無常観という言葉で語られる日本人の死生観でもある。今日を今日として生ききることの先に明日がある。別れは必然でもあり偶然でもある。2018/05/13

カスミソウ

7
二人称の世界の人を失ったばかりで、どうやって「別れ」と向き合えばいいのか悩んでいた私に、たくさんの人たちのさようならと向き合う姿勢を教えてくれた。私たちはとても悲しいし、忙しい毎日に追われることで、別れということ、さようならということ、死ぬということについて考えることが昔よりなくなったみたいで。でも断言するわけではないけど結局は「さよならだけがじんせいだ」な訳で。出会いが必然なんだか偶然なんだか曖昧でよくわからないものなのに対して、私たちは別れについてもう少し考えることができるはず。ふぅ・・・さようなら。2015/10/14

ken

6
「さようなら」に見られる日本人の死生観に迫る。言語的アプローチではなく、思想的アプローチが主。「そのようなものであるならば」、「そうせざるをえないならば」という、人生を愛惜しつつ運命を受容する人間のことばの発露、それが「さようなら」だと。筆者の筆は、宇宙の原理と実存との相克について(「おのづから」と「みづから」論)にまで及ぶ。自然と人間、超越と個人、無限と有限、そこに向き合った哲学者、宗教家、詩人、作家も数多く登場。人生という一回性の中でいつかは直面しなければならない悲しみと、その問いがここにある。2020/07/22

13km

5
日本人は生き様よりも死に様に美を見いだすのかとも思った。さようならという言葉に秘められた無常観などは心にしみる。あとは「れる、られる」が自発であり可能性であり受け身であり尊敬であるということもとてもおもしろかった。ここらへんかなり複雑な葛藤や思考をしつつも日本人はこのような言葉を採用したんじゃないかな。2012/10/10

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