出版社内容情報
地域の覇権を獲得しようとするサウジアラビアの
他国への干渉や国内における人権問題を、
米国が非難することはない。
また、パレスチナ問題においても、
「イスラムの盟主」を任ずるサウジアラビアが、
米国に異を唱えることもない──。
「反イラン」を軸に形成される“黒い同盟”。
その特殊な関係性の内実を読み解く。
内容説明
地域の覇権を獲得しようとするサウジアラビアの他国への干渉や国内における人権問題を、米国が非難することはない。また、パレスチナ問題においても、「イスラムの盟主」を任ずるサウジアラビアが、米国に異を唱えることもない―。「反イラン」を軸に形成される“黒い同盟”。その特殊な関係性の内実を読み解く。
目次
第1章 サウジ人記者殺害事件から露呈した闇
第2章 米国、サウジの特殊関係はいつから始まったか
第3章 過激派を生んだ同盟関係
第4章 九・一一をめぐる奇妙な関係
第5章 「自由と民主主義」に反する同盟
第6章 反イラン枢軸―米国、サウジ、イスラエルの非神聖同盟
第7章 戦争を望む同盟
著者等紹介
宮田律[ミヤタオサム]
1955年山梨県生まれ。現代イスラム研究センター理事長。83年慶應義塾大学大学院文学研究科史学専攻修了。米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)大学院修士課程(歴史学)修了。専攻はイスラム政治史、国際政治(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
45
中東情勢の専門家によるアメリカとサウジアラビアの武器貿易を契機にした癒着と、それに影で繋がるイスラエルの関係を概説したもの。池内恵も書いていたが、現代のイスラーム情勢をその宗派対立に求めることの愚かしさがここにも見て取れる。ペルシャ(アラビア)湾で対峙するサウジとイランの最近の対立に、トランプのアメリカが見事に乗せられたとも言えそうだ。アメリカ第一(つまりそれで選挙に勝つ)のトランプの外交センスのなさはあきれるばかり。一方古色蒼然たる絶対王政的なサウジの政治的堕落のひどさも。漁夫の利を得るイスラエルか。2019/11/01
coolflat
20
なぜサウジとイランは敵対するのか。なぜ米国はサウジに肩入れするのか。関係性がわかる。サウジは、イラン革命によってイランの王政が打倒されたという危機感から米欧諸国に依存する政策をとり、また指導者ホメイニがサウジを「拝金のイスラム」と形容し、イスラムは王政とは矛盾すると主張したことなどで、イラン敵視政策を取り続けてきた。イランは、聖地エルサレムを占領するイスラエルの解体を唱えるが、それがイスラエルのイランに対する警戒となっている。サウジのイランと対立する姿勢は米国内の対イラン強硬派の目標にかなうものだった。2020/08/11
大先生
13
複雑な中東情勢を解説した本です。【サウジアラビアは武器売買を介して米国と強い繋がりを持つ。米国は武器売買による莫大な経済的利益を得るためにサウジの人権侵害、過激派支援、イエメン空爆等を黙認し、イランをはじめとするシーア派敵視政策まで支援している。イエメンでは「世界最悪の人道危機」が生じており2000万人が飢えている。日本の石油輸入の約4割はサウジである】日本も無関係とはいえませんね。それにしても、米国の中東における自己中ぶりは凄い(←嫌み)イランが気の毒になります(汗)2022/08/09
yuui02
6
反イランでまとまるアメリカ、イスラエル、サウジ。サウジはアメリカから大量に武器を買っている。王政のサウジは中東の民主化に神経を尖らせているようだ。メディアはイランを批判することが多いが、サウジの方が悪質な気がする。イエメンについては日本でもあまり報道がされていない。アメリカもアメリカで自分たちに都合のいい民主化運動は支援するが、都合の悪い民主化運動は完全に無視。政治とはそういうものなのかもしれない。2019/12/14
Melody_Nelson
5
複雑な中東情勢。イスラムと一口でいっても仲の悪い複数の宗派があり、国家間はもとより、一国の中でもその宗派がせめぎあっているなど、本当に難しい。しかも、その多くが「イスラム」の教義を遵守せず、体制(多くが王族)維持と、極端な解釈(IS等)に使われているような。そこにイスラエルとアメリカが絡むので、更にややこしくなる。今はとにかく、イエメン(特に子供達)が不憫なり。ところで本書だが、もうちょっと読みやすく工夫してくれたら、もっとサクッと読めたのに…。2020/02/21