内容説明
「聖地巡礼」―映画やドラマのロケ地、マンガやアニメの原作地には観光客が集まる。コンテンツを通して醸成された地域固有の“物語性”“テーマ性”を観光資源として活用すること。それがコンテンツ・ツーリズムの根幹なのだ。新たな「観光資源」の創出。
目次
第1章 コンテンツ・ツーリズムとは何か?
第2章 コンテンツ・ツーリズムの歴史
第3章 『北の国から』の魅力
第4章 大河ドラマの魅力
第5章 韓流ドラマ『冬のソナタ』の魅力
第6章 「水木しげるロード」ができた理由
第7章 『らき☆すた』の魅力
第8章 司馬遼太郎と藤沢周平
第9章 コンテンツがつくるイメージ
第10章 ご当地ソングのツーリズム
第11章 吉田修一を歩く
著者等紹介
増淵敏之[マスブチトシユキ]
1957年北海道生まれ。法政大学大学院政策創造研究科教授。北海道マンガ研究会代表。東京大学大学院総合文化研究科修了(学術博士)。テレビ、ラジオ番組、音楽コンテンツ制作等に従事した後、研究活動を開始。経済地理学、文化地理学をベースに、コンテンツ産業の立地行動及び都市構造の変容との関係性などに関心を持ち、研究をつづけている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とよぽん
15
物語、映画、ドラマなどの舞台となったところを訪ねる旅、とても憧れる。文化としても、地域活性化の面でも、今後さらにコンテンツ・ツーリズムは盛んになると思う。また、地方から発信できる例として、富山県南砺市のアニメ制作会社が取り上げられていてへェ~と思った。2018/02/09
富士さん
2
著者が会長を務める学会の論文集が後に出ていますが、内容はアイドルにかかわるものがない以外かなり重複しているので、記述の一貫性や濃さという面でもこちらの方が好きです。特に、著者がコンテンツツーリズムの起源として神社仏閣の参詣を指摘しておられるのは極めて慧眼だと思います。歴史の浅いコンテンツツーリズムでは、その歴史を構築して行くことが学問的な深みや他分野との接続を図るには必須のことで、それが現在の事象を分析する独自の方法を生み出すのだと思います。安直な流行だけにするにはもったいないジャンルだと思うのです。2018/02/27
Yasomi Mori
1
文学作品や映画等の物語をつうじた体験型観光。「鎌倉」の例でいえば、旅行がまだ庶民のものにはなっていなかった江戸時代初期、『太平記』『義経記』といった、庶民のあいだで盛んになった語りと活字の文化を背景として、鎌倉は〈古都〉として人々に発見された。そのような古くて新しい観光のかたち。そして現代においては、《コンテンツ・ツーリズムは単に観光文脈だけではなく、地域の再生や活性化と結びついている点が重要》である。鳥取県の「水木しげるロード」の事例は面白い。地域でのコンテンツ作品のアーカイブ作業が重要との指摘も。2015/03/13
hisakodosu
1
旅するきっかけとして物語とか本に出てきたところを訪ねるツーリズム。この本の装丁というか割付が最初慣れなかったけれど、これも偶然の出会いを求める練習。2013/06/12
とりもり
1
コンテンツ・ツーリズムの入門書だが、今一つ総花的で、結局コンテンツ・ツーリズムとは何かがはっきりしない印象。また、(ドラマ等による)ブームが一過性に終わってしまうことを懸念する一方で、著者の考える対策などはよく分からず、食い足りない印象は否めない。類書も少ない中では相応の存在意義は認められるが、誤植が多すぎるのには閉口(特に脚注番号がずれまくり)。「変さら」はいくら何でもないでしょう…。続編もあるが、どうしようかな? ★★★☆☆2013/05/03