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神風連とその時代―渡辺京二傑作選〈2〉

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  • サイズ 新書判/ページ数 296p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784862487681
  • NDC分類 210.624
  • Cコード C0295

内容説明

神風連の乱は、戦後はおろか当時ですら理解されず、単なる反動派士族の一反乱として無視されてきた。だが、その行動は“うけひ”と呼ばれる誓約祈祷から得た神託によって決定したように他の反乱に比して際立った異相にある。軍事的成算をはじめから度外視した「反時代的反乱」の精神史的意味を、その時代とその師林櫻園の思想を通して解き明かす。

目次

第1部(神風連伝説;蜂起のあと;神風連百年)
第2部 神風連とその時代(見神者;肥後勤皇党;熊本敬神党;反乱;予兆)

著者等紹介

渡辺京二[ワタナベキョウジ]
1930年京都生まれ。大連一中、旧制第五高等学校文科を経て、法政大学社会学部卒業。評論家。河合文化教育研究所特別研究員。主な著書に『北一輝』(朝日新聞社1985、毎日出版文化賞受賞・ちくま学芸文庫2007)、『逝きし世の面影』(葦書房1998和辻哲郎文化賞受賞・平凡社ライブラリー2005)、『黒船前夜』(洋泉社2010、大佛次郎賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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雨巫女。@新潮部

12
《私‐図書館》百年以上前に、実際近所でおきた事件。聞き慣れた地名や、聞いたことある名前等、身近に感じる。彼らが、命懸けで、おこしたことが、風化していくのは、悲しい。2012/06/01

松本直哉

11
行動が夢の姉妹でないこの世において、現実に合せて夢を矮小化して行動するのが政治だとすれば、太田黒伴雄の行動は、夢の巨大さに合致した点で革命であり、必然的に失敗すべきものだった。一方、師の林桜園は夢の中に生涯生きたが、それは現実からの逃避であるよりも反語的な反抗であった。林から太田黒へと受け継がれる思想は、その反近代性のために同時代も後代も誤解され続けたが、一般の勤皇皇国主義よりもはるかに先鋭性をもっていたのはその超越性のゆえであり、一神教の西洋近代に対峙するには超越的な思想が必要と考えていたのだろう。2015/05/20

chanvesa

10
日本の近代化に、精神の観点からの反乱であるとした神風連の乱については、この本を読むまで何も知らなかった。本の結びはまさに渡辺京二さんの問題意識であり、まだ読んでいないが『近代の呪い』につながっていくのかもしれない。神風連の描いていた神政国家で生きていくのもしんどいが、彼らが受け入れがたかった今日の近代市民社会で安んじて生きられるわけでもない、という嘆き。また宇気比(うけひ)について。中世の一揆のうけひにおける決死の同盟より、この近世末のうけひは神の主体性がまし、悲壮感が半端なく漂っているような気がした。2014/03/06

HANA

6
佐賀の乱、西南戦争は司馬遼太郎で多少なりとも知ったつもりだったが、その他の士族の乱、秋月の乱とかは殆ど知らなかった。この神風連も反乱規模の小ささからそれら同様の物と思っていた。が、本書を読んでその勘違いに気付かされる。神風連の正式名称が熊本敬神党ということを知るのもこれが初めて。宗教的情熱を明治の代において保っていた集団がいたことに驚かされるし、作者の見解ではあるが反乱の理由に至っても驚かされた。ただ、反乱中の経緯などにはほとんど触れられていないため、読むにはある程度の予備知識が求められると思う。2011/07/26

yzw

2
神風連の蜂起は三島由紀夫の豊饒の海第二巻「奔馬」に詳しく登場する。首領の大田黒が言うこの蜂起が「宇気比の戦い」であるという意味について、宇気比の神事による挙兵が、実はこの挙兵自体が宇気比であったという著者の示す解釈が興味深い。2013/04/19

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