日本人には砂漠と石油のイメージの強い中東を近代の歴史から振り返り、現代へと繋げる書物。
テロと紛争のイメージは21世紀に入ってから強くなってしまった中東だが、本格的な開発による発展は20世紀に入ってから多くの石油資源の埋蔵が確認されたことと、それに伴う石油の発掘で欧米の資本が多く入り急速に国が発展した点。
サウジアラビアを代表する多くの産油国は石油資源で多くの外貨を獲得することに成功し、それが自国の発展資金となってインフラや公共機関等の制度が整うようになってくる。
但し、そういった欧米文化の流入には負の面もあり、本来中東にあるイスラム文化の衰退に繋がるという危機感を抱く人間も少なからずいたということだ。
また、中東の国の全てが石油による恩恵を受けたわけではなく、非産油国は貧しく産油国との貧富の差が開いて産油国からの援助無くしては国が立ち行かなくなるなど歪な構成であった。
また、冷戦時代には米ソの二大超大国による代理戦争の影響が中東にも及んでおり、中東の国々も米ソの二か国の対立を上手く利用して立ち回りを演じることもあった。が、その一方のソ連が崩壊し米国のみが残ると最早立ち回りをする必要もなくなり、親米か反米かの二極化が進むことになった。
親米路線の政権はサウジなどを除いてイランでもシリアでも倒されて逆に反米路線の政権が出来る。
そうなると米国との対立は深まり、それが米国のイラク侵攻後に過激なテロとなって牙を剥いた。
本来ならばオイルマネーで大いに潤って「金持ち喧嘩せず」というべき立場の中東諸国だが、恩恵を受けて肥えたのは一部の支配層の人間だったりと、型通りには行かず、イスラム教という宗教も加わって複雑奇怪な伏魔殿のような場所と化してしまったようだ。
今や多くの中東エリアが日本の外務省から渡航を見合わせるような注意を出される危険地帯と化してしまっている。
米ソも介入しても結局はやりっ放しで途中で投げ出してしまい、現地の人たちから憎まれる結果を生んでいる。
中東の問題は最終的には中東の人たちに解決してもらうしかないようだ。
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<中東>の考え方 (講談社現代新書) 新書 – 2010/5/19
酒井 啓子
(著)
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国際政治を理解するための新しい入門書。パレスチナ問題、産油国の隆盛、イランのゆくえ、イスラーム主義、ネットメディアの影響。ニュースでも理解しにくい中東情勢にかかわる問題を国際政治と現代史の視点から読み解く。(講談社現代新書)
パレスチナ問題、イランのゆくえ、イスラーム主義、インターネットなどメディアの影響……。「中東」と呼ばれる地域のニュースは、背景が複雑で理解しにくいと言われます。著者も、大学での授業や、一般向けの講演などを通して、その困難さを感じてきました。なんとか「手がかり」となる本ができないか……。本書は、これらのさまざまな問題を、国際政治と現代史の枠組みのなかで理解することを狙いとした新書です。
【著者紹介】
酒井啓子(さかい・けいこ)
1959年生まれ。東京大学教養学部教養学科(国際関係論)卒業後、アジア経済研究所に勤務。24年間の同研究所在任中に、英国ダーラム大学(中東イスラーム研究センター)で修士号取得。1986~89年、在イラク日本大使館に専門調査員として出向。2005年より、東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。専攻はイラク政治史、現代中東政治。おもな著書に『イラクとアメリカ』(岩波新書、アジア・太平洋賞大賞受賞)、『イラク 戦争と占領』『イラクは食べる』(ともに岩波新書)、「フセイン・イラク政権の支配構造」(岩波書店)など。
【目次】
第1章 石油の海に浮かぶ国々
大英帝国の遺産「湾岸首長国」/サウディアラビアの登場/石油の国々
第2章 パレスチナ問題とは何か
中東の人々のアイデンティティーを考える/パレスチナ問題をふりかえる/アメリカはパレスチナ問題にどのように関わってきたか
第3章 冷戦という時代があった
アメリカとソ連の時代/北辺防衛のための国々―トルコ、イラン/アフガニスタン侵攻/メリカの一極集中時代へ
第4章 イランとイスラーム主義―イスラームを掲げる人々
イランで実現した「イスラーム共和制」/「革命」政権の変質/「民主化が進むとイスラーム主義が強まる」のはなぜか?
第5章 メディアとアイデンティティー
アラビア語衛星放送「アルジャジーラ」の影響力/ネット空間/イスラーム銀行とスカーフ
パレスチナ問題、イランのゆくえ、イスラーム主義、インターネットなどメディアの影響……。「中東」と呼ばれる地域のニュースは、背景が複雑で理解しにくいと言われます。著者も、大学での授業や、一般向けの講演などを通して、その困難さを感じてきました。なんとか「手がかり」となる本ができないか……。本書は、これらのさまざまな問題を、国際政治と現代史の枠組みのなかで理解することを狙いとした新書です。
【著者紹介】
酒井啓子(さかい・けいこ)
1959年生まれ。東京大学教養学部教養学科(国際関係論)卒業後、アジア経済研究所に勤務。24年間の同研究所在任中に、英国ダーラム大学(中東イスラーム研究センター)で修士号取得。1986~89年、在イラク日本大使館に専門調査員として出向。2005年より、東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。専攻はイラク政治史、現代中東政治。おもな著書に『イラクとアメリカ』(岩波新書、アジア・太平洋賞大賞受賞)、『イラク 戦争と占領』『イラクは食べる』(ともに岩波新書)、「フセイン・イラク政権の支配構造」(岩波書店)など。
【目次】
第1章 石油の海に浮かぶ国々
大英帝国の遺産「湾岸首長国」/サウディアラビアの登場/石油の国々
第2章 パレスチナ問題とは何か
中東の人々のアイデンティティーを考える/パレスチナ問題をふりかえる/アメリカはパレスチナ問題にどのように関わってきたか
第3章 冷戦という時代があった
アメリカとソ連の時代/北辺防衛のための国々―トルコ、イラン/アフガニスタン侵攻/メリカの一極集中時代へ
第4章 イランとイスラーム主義―イスラームを掲げる人々
イランで実現した「イスラーム共和制」/「革命」政権の変質/「民主化が進むとイスラーム主義が強まる」のはなぜか?
第5章 メディアとアイデンティティー
アラビア語衛星放送「アルジャジーラ」の影響力/ネット空間/イスラーム銀行とスカーフ
- ISBN-104062880539
- ISBN-13978-4062880534
- 出版社講談社
- 発売日2010/5/19
- 言語日本語
- 寸法10.6 x 1.3 x 17.4 cm
- 本の長さ256ページ
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商品の説明
著者について
酒井 啓子
(さかい・けいこ)
1959年生まれ。東京大学教養学部教養学科(国際関係論)卒業後、アジア経済研究所に勤務。24年間の同研究所在任中に、英国ダーラム大学(中東イスラーム研究センター)で修士号取得。1986~89年、在イラク日本大使館に専門調査員として出向。2005年より、東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。専攻はイラク政治史、現代中東政治。おもな著書に『イラクとアメリカ』(岩波新書、アジア・太平洋賞大賞受賞)、『イラク 戦争と占領』『イラクは食べる』(ともに岩波新書)、「フセイン・イラク政権の支配構造」(岩波書店)など。
(さかい・けいこ)
1959年生まれ。東京大学教養学部教養学科(国際関係論)卒業後、アジア経済研究所に勤務。24年間の同研究所在任中に、英国ダーラム大学(中東イスラーム研究センター)で修士号取得。1986~89年、在イラク日本大使館に専門調査員として出向。2005年より、東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。専攻はイラク政治史、現代中東政治。おもな著書に『イラクとアメリカ』(岩波新書、アジア・太平洋賞大賞受賞)、『イラク 戦争と占領』『イラクは食べる』(ともに岩波新書)、「フセイン・イラク政権の支配構造」(岩波書店)など。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2010/5/19)
- 発売日 : 2010/5/19
- 言語 : 日本語
- 新書 : 256ページ
- ISBN-10 : 4062880539
- ISBN-13 : 978-4062880534
- 寸法 : 10.6 x 1.3 x 17.4 cm
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著者について
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2019年7月8日に日本でレビュー済み
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2023年6月3日に日本でレビュー済み
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中東入門本として最高。柔らかい文章でさくさく読み進められる。最後に、グローカル化する中東社会、過激派でも体勢側でもなく大衆化するイスラーム社会が言及されるが、これらについてもっと詳しく読みたかった。
2021年2月20日に日本でレビュー済み
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少し難しくて理解できない箇所もあったが、解説が詳しく勉強になった
2014年1月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
最近200年の歴史を辿り、現代の中東情勢までをコンパクトに解説しています。
第一章は18世紀以降の大英帝国の植民地政策をうまく利用して力を握った部族の様子を描き、第二章はパレスチナ問題におけるイスラエルとアラブ諸国の思想と戦略、経過を辿っています。第三章では冷戦下でアラブ諸国がアメリカとソ連をうまく操作してきたことと、冷戦以降のアメリカとのかかわりに触れ、第四章ではイランを中心としたイスラーム主義と、一部の過激化の過程を扱っています。また、終章ではインターネットを通じて新しいアイデンティティを模索する若者たちの姿を描いています。
中東の問題は理解不能な「宗教」により起こっているわけではなく、弾圧されたら過激化する、社会福祉を担ってくれたら投票するなど、どこにでもあるダイナミズムを含んでいるようです。インターネットとアルジャジーラが民衆に起こした変化はグローカル化(グローバル+ローカル)の力強さを感じさせます。
歴史と現代をうまく繋げており、中東理解の入門にはとてもよいと思います。
なお、2010年の5月に初版が出版されたため、同年末以降のアラブの春については言及がありません。
第一章は18世紀以降の大英帝国の植民地政策をうまく利用して力を握った部族の様子を描き、第二章はパレスチナ問題におけるイスラエルとアラブ諸国の思想と戦略、経過を辿っています。第三章では冷戦下でアラブ諸国がアメリカとソ連をうまく操作してきたことと、冷戦以降のアメリカとのかかわりに触れ、第四章ではイランを中心としたイスラーム主義と、一部の過激化の過程を扱っています。また、終章ではインターネットを通じて新しいアイデンティティを模索する若者たちの姿を描いています。
中東の問題は理解不能な「宗教」により起こっているわけではなく、弾圧されたら過激化する、社会福祉を担ってくれたら投票するなど、どこにでもあるダイナミズムを含んでいるようです。インターネットとアルジャジーラが民衆に起こした変化はグローカル化(グローバル+ローカル)の力強さを感じさせます。
歴史と現代をうまく繋げており、中東理解の入門にはとてもよいと思います。
なお、2010年の5月に初版が出版されたため、同年末以降のアラブの春については言及がありません。
2017年2月12日に日本でレビュー済み
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本書は、「中東」という地域が抱えている問題とはいったい何なのか、明らかにしようとするものである。
章立ては以下の通り。
「プロローグ」は、本書の問題設定と構成について。
第1章「石油の海に浮かぶ国々」は、ペルシア湾沿岸の砂漠に点在する小さな集落が、どのように世界経済に大きな影響を与える大産油国に発展していったのか、について。
第2章「パレスチナ問題とは何か」は、表題の通りパレスチナ問題について。
第3章「冷戦という時代があった」は、9・11事件やイラク戦争をもたらしたアメリカの中東政策の背景として冷戦時代を振り返る。
第4章「イランとイスラーム主義――イスラーム主義を掲げる人々」は、イスラーム主義の台頭とイランについて。
終章「メディアとアイデンティティ」は、グローバル化の中で、インターネットや衛星放送を通じて、自分たちの新しいアイデンティティを模索する中東の若者たちについて。
本書は、「中東」がいかに近現代の国際政治に振り回されてきたか、また世界で起きている様々なこととどのように連動してきたか、についての入門書である。18世紀以降の大英帝国の植民地政策から近年のイスラーム主義の台頭やグローバル化までの広範囲を扱っている。湾岸諸国における「格差がなぜ政治の不安定につながらないのか」、あるいは「民主化が進むとイスラーム主義が強まるのかなぜか」、といった問題についても触れており、興味深く読めた。
第4章は、非常にアクチュアルであるにもかかわらず、あまり入門書の類で取り上げられることの少ないトピックである。それゆえ、他の章に比べて紙幅が少ないのが残念である。ところで、本章においてアルジャジーラ放送は非常に成功したものとして論じられているが、近年では「やらせ」や偏向報道が問題視され、ニュースの信頼性が落ち、ジャーナリズムの危機だとして有能な記者が退職する事態が進行している。本書は、メディアの普及による新たなネットワークや連帯感の形成については論じているが、メディアと権力の関係については看過している。
とはいえ、新書という性格を考えればすべてを論じることはできないだろう。全体的には、論旨が明確であり読みやすい良書である。参考文献表も付されており便利である。一読を勧めたい。
章立ては以下の通り。
「プロローグ」は、本書の問題設定と構成について。
第1章「石油の海に浮かぶ国々」は、ペルシア湾沿岸の砂漠に点在する小さな集落が、どのように世界経済に大きな影響を与える大産油国に発展していったのか、について。
第2章「パレスチナ問題とは何か」は、表題の通りパレスチナ問題について。
第3章「冷戦という時代があった」は、9・11事件やイラク戦争をもたらしたアメリカの中東政策の背景として冷戦時代を振り返る。
第4章「イランとイスラーム主義――イスラーム主義を掲げる人々」は、イスラーム主義の台頭とイランについて。
終章「メディアとアイデンティティ」は、グローバル化の中で、インターネットや衛星放送を通じて、自分たちの新しいアイデンティティを模索する中東の若者たちについて。
本書は、「中東」がいかに近現代の国際政治に振り回されてきたか、また世界で起きている様々なこととどのように連動してきたか、についての入門書である。18世紀以降の大英帝国の植民地政策から近年のイスラーム主義の台頭やグローバル化までの広範囲を扱っている。湾岸諸国における「格差がなぜ政治の不安定につながらないのか」、あるいは「民主化が進むとイスラーム主義が強まるのかなぜか」、といった問題についても触れており、興味深く読めた。
第4章は、非常にアクチュアルであるにもかかわらず、あまり入門書の類で取り上げられることの少ないトピックである。それゆえ、他の章に比べて紙幅が少ないのが残念である。ところで、本章においてアルジャジーラ放送は非常に成功したものとして論じられているが、近年では「やらせ」や偏向報道が問題視され、ニュースの信頼性が落ち、ジャーナリズムの危機だとして有能な記者が退職する事態が進行している。本書は、メディアの普及による新たなネットワークや連帯感の形成については論じているが、メディアと権力の関係については看過している。
とはいえ、新書という性格を考えればすべてを論じることはできないだろう。全体的には、論旨が明確であり読みやすい良書である。参考文献表も付されており便利である。一読を勧めたい。
2018年11月16日に日本でレビュー済み
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でも深く触れてない気がする、教養の本には使えると思う
2011年4月28日に日本でレビュー済み
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本日時点で8件のレビューが掲載されていますが、全部が参考になりました。現時点で、本書のレビューにおける「参考になった」率は100%で、全員が☆5つの、完璧な評価です。他の方のレビューの通りなので、わざわざ私がレビューを追加する必要は無いのですが、他の方が取り取りのご意見を記載されている全てが、読後同感でき、更に現時点で「参考になった」率が100%という書籍はちょっと珍しいのでは無いかと思い、単に「参考になった」と投票するだけではなく、「その通りでした」と文章で強調したくなってしまったのです。
他の方も記載されていますが、中東でビジネスをしていたり、中東本を既に色々読んでおられる方にとっては「今更」のように思われても仕方が無い概説本でありながら、皆様5点満点。私も中東本は色々読んできて、遂にはアマゾンのおすすめに中東本があまり上がらなくなってきている状況にあり、本書は、久々に「おすすめ本」を最後(1000件)まで見ていったら出てきた本で、レビューの評価がいいので、「一応抑えておくか」程度で図書館で借りてきて読んだものです。しかも、今更入門書を買うのもなぁ、と要点をメモしつつ2回読み、それでも結局アマゾンで注文することにしてしまいました。
何がそんなにいいのかというと、やはり著者の議題の提出の仕方と整理の仕方ではないでしょうか。整理の仕方とは、章立てであり、ちょっとした文章に見られる、「それは、こういうことです」という書き方にあるように思えます。もの凄く文章が上手いとか、他では得られない情報が書いてある分けではないのですが、なぜか頭に入りやすいのです。中東やイスラームの捉え方、というような書籍は他にもあるのですが、それらは著者独自の視点という印象が強く残る、「まあ、そういう意見もあるのね」という感想を抱くことが多いのですが、本書については、不思議と「著者」があまり前に出ることなく、本書も他著同様、著者の視点での「考え方」である筈なのに、いつの間にか「あたりまえ」「既知の事」のように受け入れてしまい、多分、私の中では、本書の「中東の考え方」が今後定着してしまいそうです。著者は冒頭で、「魔法の絨毯」という表現をされていますが、確かに著者の整理力は魔法と言えるレベルに達しているのかもしれない。つまり、本書は小著だけど、その背後にある膨大で複雑に入り組んだ情報を、ここまで整理した目的意識と意思と技量は大変なものがあるのだ、と今これを書いているうちに段々と思えるようになってきたのでした。
著者が末尾で記載されている「うわあ、たいへんだ」(実は一番印象に残っているのはこのフレーズなんだけど)という問題意識、本書で結実していると思います。
他の方も記載されていますが、中東でビジネスをしていたり、中東本を既に色々読んでおられる方にとっては「今更」のように思われても仕方が無い概説本でありながら、皆様5点満点。私も中東本は色々読んできて、遂にはアマゾンのおすすめに中東本があまり上がらなくなってきている状況にあり、本書は、久々に「おすすめ本」を最後(1000件)まで見ていったら出てきた本で、レビューの評価がいいので、「一応抑えておくか」程度で図書館で借りてきて読んだものです。しかも、今更入門書を買うのもなぁ、と要点をメモしつつ2回読み、それでも結局アマゾンで注文することにしてしまいました。
何がそんなにいいのかというと、やはり著者の議題の提出の仕方と整理の仕方ではないでしょうか。整理の仕方とは、章立てであり、ちょっとした文章に見られる、「それは、こういうことです」という書き方にあるように思えます。もの凄く文章が上手いとか、他では得られない情報が書いてある分けではないのですが、なぜか頭に入りやすいのです。中東やイスラームの捉え方、というような書籍は他にもあるのですが、それらは著者独自の視点という印象が強く残る、「まあ、そういう意見もあるのね」という感想を抱くことが多いのですが、本書については、不思議と「著者」があまり前に出ることなく、本書も他著同様、著者の視点での「考え方」である筈なのに、いつの間にか「あたりまえ」「既知の事」のように受け入れてしまい、多分、私の中では、本書の「中東の考え方」が今後定着してしまいそうです。著者は冒頭で、「魔法の絨毯」という表現をされていますが、確かに著者の整理力は魔法と言えるレベルに達しているのかもしれない。つまり、本書は小著だけど、その背後にある膨大で複雑に入り組んだ情報を、ここまで整理した目的意識と意思と技量は大変なものがあるのだ、と今これを書いているうちに段々と思えるようになってきたのでした。
著者が末尾で記載されている「うわあ、たいへんだ」(実は一番印象に残っているのはこのフレーズなんだけど)という問題意識、本書で結実していると思います。
2013年4月15日に日本でレビュー済み
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中東(イラクが専門)地域研究者の渾身の一冊。あとがきを読むと気合いが入っているのがよく分かる。中東とひとくくりにしても、実はいろいろな国があり、多数の軸がひける。アラブ系/ユダヤ系/ペルシア系、産油国/非産油国、君主国/共和国、シーア派/スンニ派/イスラム少数派(オマーン)/ユダヤ、反米/親米、というのが主な対立軸であるが、ここで陣営が入り乱れるので整理が難しい。さらに、時間をかけて変わっていく要素もある。こういう事象を本書は簡潔ながらもきちんと説明しようとする。例えば、イランに関しては大変興味深い一章が割かれている。イランはもともと中東地域の親米国家代表であったが、現代では最も反米的国家の一つである。その一つの原因は、冷戦時代にソ連の南下を防ぐために、一所懸命に英米が反西側勢力の勢いを削ぎ(油田を国有化しようとしたモサデグ政権をCIAが転覆した)、親米のシャーに政権をとらせていたことなどが影響している。そういう、冷戦構造の残したもろもろの遺物を本書では「冷戦のゴミ」として描写している。びっくりする表現だったが、本書を読むと極めて的確な表現であることが分かる。有名な話だが、ビン・ラディンももともとはアフガニスタンで戦うために、(米国の支援のもと)サウジアラビアで鍛えられた戦士だった。その戦士たちが冷戦が終わった後も残っているというのが現代の世界であって、Hot warだったら戦後処理ということをみんな一所懸命にやったのだろうが、「冷戦」だったのでどちらの陣営も面倒を見ずにいて、あいだにいた中東に迷惑な爆弾的要因が多数残されてしまったということだ。地域の人にとっては大変迷惑な話である。