風樹氏の性格なのか、文章は全て「ですます」調で書かれており、内容に比較してトゲトゲしさが無い点は読み易いと感じた。
しかし、本書をタイトル通り東京のドヤ街で有る山谷の盛衰記として手に取るとがっかりする。
本書の大部分を占めるのは、風樹氏が取材の過程で知り合った「田口氏」を、10年後に探し出してその後をルポする部分。当然、詳細な素性がわからない山谷の住人の為(また出入りの多い地域特性ゆえ)、すぐには見つからない。。。。。。。 はずが、名刺を貰っていた職員の携帯電話が、10年後でも番号を変えずにあっさりとつながり、関係各所に訪問(と言っても山谷の範囲内)する事によって、割とすぐにと消息がわかってしまう。
なので、間の紙数を増やす為に、「田口氏」の育ったであろう土地の当時の状況や、また盛衰記と言うタイトルの為か、山野で暮らす人々をサポートするボランティアの人々へのインタビューなどで埋められている。
確かに、一番「盛」り上がったであろう時期や現在の「衰」えていく山谷の状況は、少しはわかる内容にはなっている。しかし、それが余りにも薄い。「盛」の時代は、当然ながら参考資料からの抜粋で、別に貴重な生き証人へのインタビューが掲載されている訳では無いし、「衰」の部分に関しても、ボランティアのインタビューは有るものの、肝心のドヤに在住している人々やブルーシートの下で寝泊りしている人への直接的なインタビューは無く、盛衰記と呼ぶにはお粗末。
結局、山谷の事を知るには物足りないし、山谷で人生のかなりの時間を過ごした「田口氏」への焦点も(当然)薄い。更に「田口氏」に焦点をあてた構成にも関わらず、情報が限りなく少ないので、唐突に日本の福祉問題について他国との違いの資料を提示したりするが、語りきれていないので、それも中途半端。
飲み屋で編集者と山谷の話しをした際に、「そう言えばこんな人が居たな〜」と言う雑談を、「じゃ、その人に焦点を当てて一冊書きましょう」と言うレベルで、煮詰める事も無く書いた様な本に感じた。
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東京ドヤ街盛衰記 日本の象徴・山谷で生きる (中公新書ラクレ 479) 新書 – 2013/12/9
風樹 茂
(著)
山谷に流れ着き死んでいった男の半生をたどりつつ、労働者の寄せ場から生活保護者のたまり場に変わってしまった現状をルポ。
- 本の長さ254ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2013/12/9
- ISBN-104121504798
- ISBN-13978-4121504791
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登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (2013/12/9)
- 発売日 : 2013/12/9
- 言語 : 日本語
- 新書 : 254ページ
- ISBN-10 : 4121504798
- ISBN-13 : 978-4121504791
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,013,218位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2014年1月18日に日本でレビュー済み
「です。ます。」調で「山谷ブルース」フルコーラスの歌詞、映画「無法松の一生」の粗くないあらすじ、永井荷風の小説などありとあらゆる「引用」を続けてとにかく紙幅を稼ぐ。主人公の一生を追って、死に様を描くルポのはずなのに、コンタクトの取れる数人の想い出話だけで、満足な取材もできないのに、それは個人情報の保護を理由に断る役所が悪く「サボる口実」とまで八つ当たり。「盛衰記」の要素も皆無。
経済学的な解説はまったくトンチンカンで、「人口配当が景気を上昇させる」との理解、「生活保護は公共事業的性格を帯びている」(福祉と公共事業の混同?あり得ません。ミクロとマクロは次元まったくが違います。その前に「雇用」でしょう・・・)などなど。
本はどこかに書いた方の苦労、主張、訴えを感じるものだが、これこそ「日雇い仕事」以下でまったくひどい。編集者、デスクもこれでどうしてOKをだしたんでしょうか?
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