社会人になって、様々な形でいわゆる「まちづくり」にかかわるようになったとき、体系的に勉強したい、知識が欲しいと探してたどり着いたのが本書でした。
今でも初めて読んだときに受けた衝撃は鮮明で、以来、座右の書とさせていただいております。
昨今でも話が出てくるコンパクトシティの概念も本書を読んで初めて理解できた、という風です。発刊されたのは2005年と気が付けば10年もたっているのですね。しかし、2015年の今読んでみても、まったくその内容は色あせることなく、それどころか、本書に書かれた内容がどんどん日本で実現されいてるという実感があります。一方、まちづくりのここ10年の課題は、私など素人から見れば変わっていない、というのが本当のところなのかもしれません。
いずれ、まちづくり分野に興味を持っている方はもちろん、私のように、一度、まちづくりを体系的に学んでみたいと考えている実践派の方々にも手放しにお勧めです。
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まちづくりの新潮流: コンパクトシティ/ニュ-ア-バニズム/ア-バンビレッジ 単行本 – 2005/9/20
松永 安光
(著)
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- 本の長さ229ページ
- 言語日本語
- 出版社彰国社
- 発売日2005/9/20
- ISBN-104395006639
- ISBN-13978-4395006632
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登録情報
- 出版社 : 彰国社 (2005/9/20)
- 発売日 : 2005/9/20
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 229ページ
- ISBN-10 : 4395006639
- ISBN-13 : 978-4395006632
- Amazon 売れ筋ランキング: - 507,086位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 142位地域開発
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2015年12月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2009年4月26日に日本でレビュー済み
爆破された巨大団地。このセンセーショナルなトピックから始まる本書は、20世紀都市計画の失敗を検討し、その反省の上に考察された新しい都市計画のコンセプトをアメリカ、イギリス、EU諸国の事例から紹介、21世紀型の都市計画を展望する本です。
20世紀の近代都市計画理論は高層化と標準化、機能主義、歩車分離と空地の増大によって、人口密度の低い箇所での犯罪の増大や、職住分離によって交通量の増大、エネルギー消費の増大を招き、多くの都市で破綻をきたしています。これに対して近年、コンパクトで高密度、活気のあるまちをめざすコンパクトシティや、コンパクトシティにエコロジーの観点を盛り込んだサステイナブルシティ、郊外へのスプロール化・経済拡大を抑制したニューアーバニズム、都市部に村のようなスケール観を取り戻すアーバンビレッジ。また、文化施設やLRTなどの公共交通、エコロジー建築など独自の特色を出している都市も多く紹介されており、画一的な20世紀都市とはずいぶん趣きの異なった、多様で生き生きとした21世紀都市の姿が見えてきます。
しかし日本ではどうか。美しく個性的な欧米の諸都市の取り組みと比べて、本書でも断片的に紹介されている事例は、まだまだ萌芽状態だと言わざるを得ません。著者自身も本書を最先端のまちづくりのガイドブックとしてほしい、と述べているように、日本の都市はこれから、本書を参考書に検討していかなければいけない。そういう段階なのだと思います。
20世紀の近代都市計画理論は高層化と標準化、機能主義、歩車分離と空地の増大によって、人口密度の低い箇所での犯罪の増大や、職住分離によって交通量の増大、エネルギー消費の増大を招き、多くの都市で破綻をきたしています。これに対して近年、コンパクトで高密度、活気のあるまちをめざすコンパクトシティや、コンパクトシティにエコロジーの観点を盛り込んだサステイナブルシティ、郊外へのスプロール化・経済拡大を抑制したニューアーバニズム、都市部に村のようなスケール観を取り戻すアーバンビレッジ。また、文化施設やLRTなどの公共交通、エコロジー建築など独自の特色を出している都市も多く紹介されており、画一的な20世紀都市とはずいぶん趣きの異なった、多様で生き生きとした21世紀都市の姿が見えてきます。
しかし日本ではどうか。美しく個性的な欧米の諸都市の取り組みと比べて、本書でも断片的に紹介されている事例は、まだまだ萌芽状態だと言わざるを得ません。著者自身も本書を最先端のまちづくりのガイドブックとしてほしい、と述べているように、日本の都市はこれから、本書を参考書に検討していかなければいけない。そういう段階なのだと思います。
2012年12月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
世界のまちづくりの成功・失敗の実例が、実に豊富・多彩に紹介されていて、非常に面白い。
評者は、昔、九州の博多に住んでいた。東京へ転勤したとき、殺伐とした不便な街という印象を持った。博多は、緑豊かで道幅も広く、
天神へ行けば、ほぼ全ての要求が満たせる。魚は新鮮。自分でつりや潮干狩りをしたければ、気軽に海辺へ出かけれた。祭りもあった。
博多は、本書で述べられている、コンパクトシティの要件を満たした地方都市だった。
本書は、近代建築の、セントルイスのプルイットアイゴー団地の爆破の描写から始まり、著者のアーバンデザインの実践で終っている。
著者の中島ガーデンは、路地型開発といい、2階建て連結住宅だが、専用庭があり、廊下の代わりに路地を、路地にはせせらぎが流れる。
風通しや陽ざしも考慮されていて、住み心地が良さそうである。
世界の魅力的な事例の中で、サクラメント近郊のビレッジホームズが、とりわけ魅力的だ。緑で覆われた理想の街を目指したという。
強いコミュニティの形成を目指し、さまざまな活動を共同で行う。近所の交流が防犯を高める。まちの樹木のほとんどは落葉樹であり、
うち半分は果樹。その果実は住民の誰でも食べられる。共同果樹園やレンタル農園もあるコンパクトなまちだ。アリゾナのサンシティは、
住民が積極的にボランティア活動をして、まちの維持管理コストを下げると同時に生きがいや絆を強めている。
日本では、小布施など、まちづくりの成功例がある。著者のような、快適で持続的なまちづくりに意欲をもつ建築家と住民参加により、
住んで幸せなまちづくりが進むことを願う。そのようなまちが増えることは、観光立国日本へも繋がっていくのではないだろうか。
評者は、昔、九州の博多に住んでいた。東京へ転勤したとき、殺伐とした不便な街という印象を持った。博多は、緑豊かで道幅も広く、
天神へ行けば、ほぼ全ての要求が満たせる。魚は新鮮。自分でつりや潮干狩りをしたければ、気軽に海辺へ出かけれた。祭りもあった。
博多は、本書で述べられている、コンパクトシティの要件を満たした地方都市だった。
本書は、近代建築の、セントルイスのプルイットアイゴー団地の爆破の描写から始まり、著者のアーバンデザインの実践で終っている。
著者の中島ガーデンは、路地型開発といい、2階建て連結住宅だが、専用庭があり、廊下の代わりに路地を、路地にはせせらぎが流れる。
風通しや陽ざしも考慮されていて、住み心地が良さそうである。
世界の魅力的な事例の中で、サクラメント近郊のビレッジホームズが、とりわけ魅力的だ。緑で覆われた理想の街を目指したという。
強いコミュニティの形成を目指し、さまざまな活動を共同で行う。近所の交流が防犯を高める。まちの樹木のほとんどは落葉樹であり、
うち半分は果樹。その果実は住民の誰でも食べられる。共同果樹園やレンタル農園もあるコンパクトなまちだ。アリゾナのサンシティは、
住民が積極的にボランティア活動をして、まちの維持管理コストを下げると同時に生きがいや絆を強めている。
日本では、小布施など、まちづくりの成功例がある。著者のような、快適で持続的なまちづくりに意欲をもつ建築家と住民参加により、
住んで幸せなまちづくりが進むことを願う。そのようなまちが増えることは、観光立国日本へも繋がっていくのではないだろうか。
2005年9月16日に日本でレビュー済み
最近六本木ヒルズ、汐止め、防衛庁跡地等の大規模都市再開発があちこちで進行している。松永教授は、物理的安全性、治安対策からこうした高層ビルによる開発に警鐘を鳴らしている。本書を読むまで、ごみごみした町を美しい高層ビルに変えるのは、良いことだと思っていたので、紹介されている海外事例には驚くことの連続である。オランダやイギリスでニュータウンがさびれて、取り壊しに会っているのを聞くと人事ではないと思う。たくさんの人が本書を読み、より安全で、人間的な町を作るにはどうしたら良いかを、国民が皆で考えなくてはならないことを示唆している。