不思議な魅力がある本でした。題名は「銅像歴史散歩」ですが、この本の魅力は、「銅像本」、「歴史本」、「町歩き本」というところとちょっと違います。
著者は銅像「オタク」ではないのに日本全国、あらゆる銅像を見に行き、写真を撮り、ルポします。
結果、一見脈絡ない、太古から現在までのいろいろな出来事が「銅像」視点から語られます。これがとても面白くて、感想は「日本人ってやっぱすげーなあ」。
私たちの祖先やさまざまな時代の人々の「脈絡なき強烈なエネルギー」の結晶が銅像になります。残るものもあれば、あっさりと忘れられたり、うち捨てられたりします。
銅像の「元ネタ」や建立に至る「エピソード」、銅像自身の「栄枯盛衰」すべてが日本人の姿そのものを投影していると思いました。
やっぱり、僕らは「伝統ある」「雑種文化」を創る民で、そのことに魅了され、またそれが強みになるのかもしれません。「かっこつけずに一生懸命」ということかなあ。
「脈絡なく」伝統も新しいことも大好きな自分としては、そんなことを思った、楽しい読書（＝「雑種文化」体験）でした。
「事典」的にも使えると思うけど、隅から隅まで（著者は「墨氏」だけど）読まないとこの本の魅力は伝わらないかも。
私的には「オススメ」本です。
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