北海道でオスプレイが日米合同軍事訓練に参加した際、その飛行ルートは全く不明だった・・・、本書でも「日本政府はルートを知る必要もないという立場」(p44)、「日本のどこの空でも訓練はしていいという政府の立場」(p45)で記される対米従属の現実を知る端緒である。
「いざという時には、アメリカに核兵器を投下してもらわねばならない、日本の平和と安全のためにそれが決定的に重要であると信じているわけです。しかし、それをいつ、どのように投下するのかには、日本はまったく関わらない、関わらないことを国是として、すべてをアメリカに任せる。実際に核兵器を投下する局面がきたとしても、それが日本の平和にとって大事かどうかの判断も、日本はしない(できない)。平和にとって大事だと信じきる。」(p220 「日本型核抑止力依存政策とその形成過程」)
日米同盟信仰と言ってもおかしくないほどの対米従属状態に陥っている謎を、本書は占領期、旧安保条約期、新安保条約から現在まで時系列に論じていく。
本書は、対米従属の謎を掘り下げる内容が主であり、最後に著者は、従属の根本原因を日本の防衛政策である「日本型核抑止力依存政策」と位置付け、更にこの従属から脱し独立国家になるためには独自の防衛哲学(-「専守防衛論」)を持つことだと説く。
この論については、今後さらに展開してもらいたいし、同様の政策を掲げる政党の出現も期待したい。
あまりの現実の酷さに読むのが辛い時もあったし、自分が出来の悪いSFの世界に住んでいるような感覚にもなるのだが、著者の根本にある非軍事的政策を希求する姿勢にとても共感する。
以下、目次。
まえがき p7
第一章 従属の現実 - 世界に例を見ない実態 p21
1.裁判権があるのに「裁判をしない」不思議 p22
2.日本全土がアメリカの訓練基地なのか p36
3.ドイツは主権のために地位協定を改定した p49
第二章 従属の原点 - 日本とドイツの占領の違い p61
1.占領期にアメリカの意図が貫かれたかどうか p63
2.対米自主性のある人が支配層になったか p72
3.独立と同盟への過程でも違いが広がる p87
第三章 従属の形成 - 「旧安保条約の時代」の意味 p103
1.マッカーサーが与えた「エジプト型の独立」 p105
2.建前としても平等を放棄した旧安保条約 p113
3.世界史に前例のない裁判権の全面放棄 p128
第四章 従属の展開 - 新安保でも深化したワケ p147
1.自主性の回復が新安保条約の建前だったのに p149
2.積み重ねが従属を慣行にする p160
3.平和か戦争かの決定権がアメリカに p186
第五章 従属の深層 - 独自戦略の欠落が背景に p193
1.鳩山政権の普天間問題での挫折が意味するもの p194
2.日本型核抑止力依存政策とその形成過程 p205
3.対米従属から抜け出す防衛政策への道 p225
あとがき p239
戦後日米政軍関係略年表p246、主な参考文献p251
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対米従属の謎:どうしたら自立できるか (平凡社新書) 新書 – 2017/1/16
松竹 伸幸
(著)
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購入オプションとあわせ買い
米軍人が事件・事故を起こしても裁かれないのか――。
同じアメリカの同盟国でありながら、日本はドイツやイタリア、フィリピンとも違う
「明らかに不平等」な関係にあります。なのに日本はアメリカについて行く。
いったい、なぜ?
この謎を探るため、著者は、占領期から旧安保時代、新安保時代から現代にいたる、
日米安保の交渉史をひもときました。アメリカの占領がドイツとどう違っていたのか。
戦後の指導者に質的な違いはあったのか(二章)。そして、ようやく成し遂げた独立が
「本来の独立」とはかけ離れたものであったこと(三章)、さらには七〇年安保後、
沖縄返還の際に、従属が決定的になったことをつきとめます(四章)。
その後の「従属の深化」はご存じのとおり。アメリカでは、トランプ大統領が誕生し、
日米関係が変わろうとしています。現代史の大きな転換点を見極めるために、いま、必読の一冊です。
- 本の長さ256ページ
- 言語日本語
- 出版社平凡社
- 発売日2017/1/16
- 寸法10.7 x 1.3 x 17.3 cm
- ISBN-10458285835X
- ISBN-13978-4582858358
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商品の説明
著者について
1955年生まれ。 ジャーナリスト・編集者、日本平和学会会員、「自衛隊を活かす会」(代表・柳澤協二)事務局長。専門は外交・安全保障。 主な著書に『これならわかる日本の領土紛争』『靖国問題と日本のアジア外交』(ともに大月書店)、『慰安婦問題をこれで終わらせる。』(小学館)、『9条が世界を変える』『「日本会議」史観の乗り越え方。』(ともに、かもがわ出版)、『反戦の世界史』『「基地国家・日本」の形成と展開』(ともに新日本出版社)、『憲法九条の軍事戦略』『集団的自衛権の深層』(ともに平凡社新書)などがある。
登録情報
- 出版社 : 平凡社 (2017/1/16)
- 発売日 : 2017/1/16
- 言語 : 日本語
- 新書 : 256ページ
- ISBN-10 : 458285835X
- ISBN-13 : 978-4582858358
- 寸法 : 10.7 x 1.3 x 17.3 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 549,523位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 538位平凡社新書
- - 4,073位外交・国際関係 (本)
- カスタマーレビュー:
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