「なにがランキングだ！」と怒るのは当然だ。経済学部一つ取っても，その中で行われる研究の価値を順位付けするなんて，全く不可能だ。まして，医学部から文学部まである大学丸ごと一つを国を超えて順位付け出来るはずがない。でも，そのランキングがまことしやかに語られるのはなぜか，と考えると，と子供っぽく怒るだけではすまされない。本書は，ランキングの仕組みだけでなく，それが受け入れられる文化や社会経済的背景から解き明かす（序章，第1部）。システムとして不条理な格付評価が混乱を生むことは当然だが，中国や台湾では，空恐ろしいまでの事態になっているというの（第3部）。しかし本書は，問題を突くだけに終わらない。格付評価の実情や仕組みを押さえて向き合いながら，それに飲み込まれずに自らの価値を示そうとする試み（第2部）や，対抗的な評価軸の模索（第4部）を紹介する。
「なにがランキングだ」と怒るのは簡単だが，そこに止まっては負けを認めるだけだ。本書は，単に大学の抱える問題だけでなく，教育・研究，さらには知的世界の抱える世界大の様々な問題に，嘆き憂うだけでなく，主体的に向き合う道標を与えてくれる。
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