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福祉を変える経営~障害者の月給1万円からの脱出 単行本 – 2003/10/9
- ISBN-104822243648
- ISBN-13978-4822243647
- 出版社日経BP
- 発売日2003/10/9
- 言語日本語
- 本の長さ224ページ
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商品の説明
商品説明
本書の大部分は、ヤマト福祉財団が共同作業所の運営者を対象に行っている「経営セミナー」の講義内容に沿ったもので、「経済とは何か」「経営とは何か」と題し、市場経済の仕組みの中で、どのように利益を得ていくかという具体的な経営ノウハウが盛り込まれている。さらに、実際に障害者に対し月給10万円以上を支払い、フランチャイズを拡大しているスワンベーカリーなどの事例も紹介されている。
本書を読み進めると、著者の福祉に対する考え方や取り組み姿勢には、宅急便に対するそれとの共通点が多いことに気づく。たとえば、働く人のやる気を引き出すことが健常者や障害者を問わず何よりも重要なことと考えているし、国や地方公共団体を頼りにしすぎることもない。もしヤマト運輸と同様にさまざまな企業が経営の知恵を出し合えば、社会全体のノーマライゼーションの実現に一歩近づくことができるのではないだろうか。福祉にとどまらず、企業のあり方についても考えさせられる1冊である。(戸田圭司)
内容(「MARC」データベースより)
登録情報
- 出版社 : 日経BP (2003/10/9)
- 発売日 : 2003/10/9
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 224ページ
- ISBN-10 : 4822243648
- ISBN-13 : 978-4822243647
- Amazon 売れ筋ランキング: - 78,134位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 193位社会福祉関連書籍
- - 1,644位社会学概論
- - 2,548位実践経営・リーダーシップ (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
1924年、東京都に生まれる。1947年、東京大学経済学部卒業。1948年、大和運輸(現ヤマト運輸)に入社。1971年、創業者である父の跡を継ぎ 社長に就任。1976年、商業貨物から撤退し宅急便事業を興す。1987年、会長に就任。1991年、取締役相談役に就くが会社に危機感を覚え、1993 年、会長に復帰。同年ヤマト福祉財団を設立。1995年、再び会長を退き、ヤマト福祉財団の理事長に専念、無報酬で障害者の自立支援に当たった。2005 年6月30日、腎不全のため米国ロサンゼルスにて死去、享年80歳(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『やればわかる やればできる―小倉昌男の経営と仕事についての120項』(ISBN-10:4062569736)が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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商売が成り立つには何をすべきかという話は、業種を問わずとてもわかりやすかった。
なお、先日カンブリア宮殿で久遠チョコの社長さんが小倉氏との思い出を語っていたが、行き着いた経営手法は似ている(作業を細分化して任せる)気がした。
ただし、夏目氏の方が時代が進んでいる分、さらにもう一段、障がい者の巻き込み方が発展している気がする。
そんな比較をしながら読むと、さらに理解が進む気がした。
宅 急便が全国津々浦々に普及したことで、日本の風景と生活は変わった。私たちが外国で日本を思い出すとき、懐かしく脳裏に浮かぶのは、朝も夜もヤマトの運搬 員が荷物を持って住宅街を駆けずり回っている風景だ。ヤマト運輸の車は日本全国どんな過疎の村でも走っている。クロネコは日本を少しだけ良い国にした。
クロネコヤマトの事業を成し遂げただけで素晴らしいのだが、小倉さんは引退後、福祉という全く違う舞台を選んだ。単に慈善事業に取り組んだのではない。障碍者が成人後も自活して生活していけることを目指して「ビジネスの仕組み」を作ることに心血を注いだのだ。
恵 まれない人たちを助けようとする上で大切なのは、単に同情してお金を恵むことではない。ハンデがある人も社会参加して尊厳を持って自立できるようにするこ とが一番の支援なのだ。そうすることで初めて障碍者の親は健常者の親と同じように安心して子供より先に死ねるようになる。大切なのは経済社会に障碍者を組 み込むチャネルと収入を生むための仕組みづくりなのである。
福祉の世界では「業界」の壁によって資本主義に乗っ取ったマーケティングや サービスが罪悪視されている。その結果、障碍者が作業所で作るモノは付加価値の低いものばかりで、その平均月給は1万円。小倉さんは、この悲しい状態を糾し、給料を10万円に引き上げられるようなビジネスの仕組みを提案してその実現を支援した。その基本姿勢はヤマト運輸時代に国と戦ったときのものと同じだ。
小倉さんには温かい心とクールな頭がある。小倉さんは、出来るか出来ないか分からなくでも、とにかく第一歩を踏み出すことが大事であり、失敗を恐れず行動するのが経営者だという。ご自身、名誉と富貴の中で楽隠居されて良い身分だったのに、福祉という新しい世界で最晩年になってもチャレンジを続けた。
余談だが、昔仕事で小倉さんにインタビューをさせていただいたことがある。紅茶がお好きで、ノーブルで上品な佇まいの清潔な人だった。
「障害者の自立とは何か? 具体的には、障害者が働いて収入を得て生活できるようになることではないか?(p.2)」「障害者の方たちも健常者並みの月給をもらい、でき得る限り自分の給与で生活できるような仕組みが……真のノーマライゼーションであり、『福祉』のはず(p.27)」というスタンスで、障害者の自立を図るために共同作業所などがそこで働く障害者にきちんとした給料を払えるようにするにはどのような取り組みをしたらよいかのアドバイスをする。
「モノをつくって売るだけでなく、最初からプロのつくったモノを仕入れて売る。あるいは逆に、自分たちのつくったモノを既存の販売チャンネルに乗せて売る、と、そこまで考えてほしい(p.145)」
という箇所で「そうか、つくるのも販売するのもすべて自前でという必要はないのか」と目から鱗が落ちた。
福祉関係者に限らず、経営に関心がある人には示唆に富む内容である。
本書の内容は4章構成です。第1章は、日本の障害者をとりまく現実についてです。日本の福祉行政の不備、差別意識から、障害者の働く場所は少なく、月給が1万円しかもらえない現実が説明されています。
第2章は、福祉に経営の視点を組み込む必要性です。小倉氏は、障害者の自立には働く場所とまとまった収入が必要だと考えますが、そのためには儲かる仕事、すなわち消費者が欲しいもの(付加価値)を提供しなければならない、だから障害者が働く場所には経営の視点が必要だと述べています。
第3章は、より具体的に、マーケティング(誰に何を売るのか)、マーチャンダイジング(どんな商品を作るか)、商圏(どこで売るのか)という経営学の知見を駆使して、小倉氏がスワンベーカリーのビジネスモデルを構築した経緯が説明されています。
第4章は、実績を上げている共同事業所の紹介です。パン屋、豆腐屋、木炭屋など各事業所の経営内容が紹介されています。
小倉氏によれば、日本は資本主義、市場経済の国なのであって、福祉的経済などというものは存在しない、障害者の事業所も市場経済、つまり経営の仕組みで動くべきであると述べています。
市場経済や経営というと、お金儲けは汚いという反発がありそうですが、小倉氏はその意識は変えるべきだと断言します。
そもそもビジネスは、お客さんに喜んでもらう物やサービスを提供し、その対価としてお金をもらう活動なのだから汚いものではない。一方で、1万円程度の低賃金で障害者を雇っている事業所は、見方によっては搾取といわれても仕方がない。適正な賃金を払うためにも、一般企業と同じくサービスの内容で勝負しなければいけないと述べています。
それを実現することは容易なことではありませんが、小倉氏は、一生懸命考えて、それでも分からないものはやってみるしかないと言います。「やればわかる、やればできる」は小倉氏の信条ですが、決断と行動こそが経営の本質ということでしょう。
小倉氏の主張は極めて論理的で明快です。障害者の福祉や人権は大切ですが、経済的な基盤がなければ理想論で終わってしまいます。経済的に自立しているからこそ、自分の意志を貫くこともできるわけで、そうした仕組みをつくることが、障害者の自立を促し、自由で差別のない社会につながるということでしょう。
本書は、障害者の自立のための経営書ですが、その手法は一般の経営そのものです。非常に分かりやすく、普遍的な内容ですから、広く経営学の入門書としても読むこともできる本です。
梱包・対応ともに丁寧で満足しています。
またよろしくお願いします。
そのことを社会福祉の現場でどのように考え、実践していくかという点について語られています。
「障害者に必要なことは社会に出て健常者と肩を並べて仕事をし、自立出来るだけの給料を取る仕組みを作ることではないか」ということを考える参考になる一冊だと思いました。
「最初から趣味をやらせるだけではダメ、障害者にいかに楽しくそして儲かる仕事をしてもらうかを考えるべきなのです。」
何ができて、何ができないか、何をしていくとこの施設で働いている障害者の方が社会に出て自立できるようになるのか、ということを考えていく必要があります。