... 民衆を指導していたのがガポンだったはずだ。彼は魔法も使えなければ、権力もないが、帝国教会の良心を代表する聖職者だった。危険を顧みず、民衆の救いを求め、政府を激しく非難するガポンの姿は、英雄というにふさわしかった。しかし、惨劇の後、彼は民衆 ...

... 民衆的英雄になり得たのは日本だけだ国家は非常にやさしくて、いいことをしてくれる。だから、国家に忠実な役人は、常に民衆のために役立つ。水戸黄門は副将軍、大岡越前守は幕府の町奉行、そういう国家権力に忠実な役人が民衆的英雄になり得た。これは諸 ...

... 民衆の間に反王族派の動きが広まりつつあった。城の前には連日反王族派の人々が ... 英雄に説き伏せられれば、彼らも従うより他になかったらしい。「あの男のしてくれ ... 民衆から非難されている王族と、相反する立ち位置にいる大衆の英雄が結婚すれば、反 ...

だが、いずれにせよ英雄は民衆と無縁なところでは現われない。民衆を離れて、英雄ぶった行動で得意になったものもいなかったわけではない。しかしそんなドン・キホーテは末路が哀れであった。その意味で、英雄が民衆を基盤にし、背景にして現われ、活動 ...

... 民衆との關係如何と言へば古來種々の説がある、一方に於ては、民衆は政治的能力の上より云へば全然無價値なるが如く、批判せられ他方に於ては「民のは神のなり」の諺に現る如く信ずるもの、或はカーライルの額に做ひて『世界の歴史は英雄の傳記なぁ』と唱 ...

次に神格化は民衆の英雄崇拝本能に基く。先ずかの大傘下における選抜野球の観衆を見よ、彼等は自校ナインの勝利に興奮してわめきつつ亂舞し、手の舞い足の踏むところを知らぬ。この感情品進がいつしか主将を英雄化し、これを誇示し、自校の榮譽に感極つて ...

... 民衆によって新しい英雄が作られるのかであろう。民衆が英雄的に生きるとき、その民衆の英雄が生まれる。フランス全土をおおう一片のパンの如きジャン・バルジャンは、フランス革命を背景にして生まれている。よしそれがバターの量の少いというような欠点 ...

... 民衆は誰より君を軽蔑した民衆だ」という事態に変わってしまったわけだが、このように言葉を入れ換えてみると、芥川がレーニンをはじめとする英雄たちを否定しきれなかったこともよく判るのではないか。彼の眼は民衆よりもレーニン、偶像の方に向けられて ...